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森村泰昌氏 展覧会「写真×絵画」


滋賀県立近代美術館にて開催中の展覧会「写真×絵画」に、東川賞受賞作家 森村泰昌氏が出品しています!!

写真×絵画

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©Yasumasa Morimura


以下リンクより

「写真」と「絵画」は造形芸術の中の異なるジャンルですが、両者の間には古くから深い因縁があります。写真の発明は1924年、フランスのニセフォール・ニエプスによるものですが、彼の考案した技法「ヘリオグラフィ(太陽で描く、の意)」は当初そのまま、新しい種類の版画技法として認識されていました。写真はその後「現実を目で見たそのままに写し取る」という役割を絵画から奪い取り、肖像画は肖像写真に取って代わられました。19世紀後半以降、やむなく絵画は写実表現から離れ、作者の内面を表現したり、色と形による純粋な平面造形を追求したりする『モダン・アート』の方向へと展開してゆくことになります。しかしながら写真製版技法とマスメディアが充分に成熟した20世紀半ば、絵画は再び写真に接近を始めました。写真という「現実世界の一断面」を絵画の中に取り込むことで、単なる絵画では得られない「日常との接点」や「人々に共有された文化の参照」といった独特の効果を得ることがでるようになったのです。

1950年代末に現れたネオ・ダダ運動の作家ロバート・ラウシェンバーグは、写真製版リトグラフ(石版画)を用いて、抽象表現主義風の激しい画面の上に現実世界の写真イメージを転写導入することで、卑俗で猥雑な現代社会・現代文化の姿を赤裸々に表現しました。彼がNASA(アメリカ航空宇宙局)の招待を受けて1969年に制作した版画連作“Stoned Moon(ストーンド・ムーン)”(「石をぶつけられた月」あるいは「石になった月」の意)は、アポロ11号の月着陸をテーマに当時の熱い世相をクールに表現したものです。またポップ・アートの代表作家アンディ・ウォーホルは、マリリン・モンローら有名人のスチール写真や、雑誌に掲載されていた素人の投稿写真を元に、シルクスクリーン技法でけばけばしい色の版画連作を仕上げ、人も自然もスーパーに積み上げられた安っぽい大量生産品のように没個性になってしまった現代社会の姿をシニカルにあぶり出しました。

ポップ・アートを継承して1980年代後半に登場したシミュレーショニズムの作家たちは、より巧みに写真と絵画の関係を利用し、人類が共有する遺産である「美術史」そのものを作品の素材へと変えてしまいます。女性写真家シンディ・シャーマンの「無題#227」は、17世紀オランダ・バロックの巨匠レンブラントの作品に似通った雰囲気の自写像を撮ることによって、この作品と瓜二つのレンブラントの作品がどこかに実在しているかのように錯覚させる作品です。また森村泰昌(もりむら・やすまさ)は過去の名画(19世紀イギリスのウィリアム・モリスやダンテ・ガブリエル・ロセッティの作品等)に扮した自写像を撮り、元の絵画の写真図版とパソコンで合成して作品を作りますが、そこにパロディの要素を巧みに盛り込むことで、高尚な名画と美術史を卑近なものに変貌させています。

一方で1980年代から関西の作家たちを中心に、写真製版による版画技法を活用したユニークな表現を模索する動きが現れています。木村秀樹(きむら・ひでき)と濱田弘明(はまだ・ひろあき)は写真のイメージを平面作品に巧みに導入して詩的な画面を作り上げています。田中孝(たなか・たかし)は自ら制作した小さな人形をモデルに写真を撮り、それを目の粗い版画で刷ることによって、現実とも虚構ともつかない孤独と郷愁に満ちた場面を作ります。また小枝繁昭(こえだ・しげあき)は被写体とカメラの間に立てたガラス板の上にファインダーを覗きながらペイントし、撮影→版画化することで、写真・絵画・版画が渾然一体となった不思議な世界を作り出しています。

他方、写真を元に写真そっくりの絵画作品を仕上げる「スーパー・リアリズム」の手法を用いて、人間の認識の奇妙さ、不可思議さを追求し続けている画家たちがいます。岡田修二(おかだ・しゅうじ)は肖像写真やミクロの景色を巨大に拡大して油絵で描き、皺や毛穴などもリアルに描き出すことで「ふだん見ているようで見えていないもの」の存在を暴いたり、水上・水の表面・水面に映った映像・水中の様子が渾然となったイメージを描くことで、人間の視覚と認識の曖昧さを露わにしています。伊庭靖子(いば・やすこ)は照明と絞りを工夫して、ミルクのような透明な光の中に被写体が溶け込むような写真を撮り、それを元に癒し感覚溢れる絵画作品を仕上げます。元の被写体とは雰囲気が全く異なる絵画作品に仕上げることで、「写真=現実の見たままの写し」という常識が覆り、被写体から独立した新たな存在としての産声を上げているのです。

<出品作家>
田中 孝、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホル、小枝 繁昭、濱田 弘明、岡田 修二、伊庭 靖子、シンディ・シャーマン、森村 泰昌


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会期:2013.2/2 - 2013.3/31
時間:9:30~17:00 入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
観覧料:一般 450円(360円) 高・大生 250円(200円) 小・中生 無料
会場:滋賀県立近代美術館
   〒 520-2122 滋賀県 大津市 瀬田南大萱町1740-1
リンク:http://www.shiga-kinbi.jp/?p=15982
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by higashikawa_blog | 2013-03-05 15:03 | 受賞作家関連
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