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川田喜久治氏 展覧会「ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ。

PGIにて、川田喜久治氏の展覧会が開催されます。


ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017


川田喜久治氏 展覧会「ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017」_b0187229_19543524.jpg
©Kikuji Kawada


以下リンクより

川田喜久治は、1956 年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当し、その後フリーランスとして60 年以上写真を撮り続けてきました。敗戦という歴史の記憶を記号化し、メタファーに満ちた作品「地図」(1965 年)や、天体気象現象と地上の出来事を混成した黙示録的な作品「ラスト・コスモロジー」(1996 年)、都市に現れる現象をテーマにした「Last Things」(2016 年)など、常に意欲的な作品を今なお発表し続けており、日本のみならず世界でも高い評価を受ける日本を代表する写真家の一人です。

「ロス・カプリチョス」は、1972 年に『カメラ毎日』で連載したのを皮切りに写真雑誌で散発的に発表され、1986 年にはフォト・ギャラリー・インターナショナル(現PGI)で個展を開催しましたが、その後1998 年に「ラスト・コスモロジー」、「カー・マニアック」と共に、カタストロフ三部作の一つとして写真集『世界劇場』にまとめられただけで、「ロス・カプリチョス」として一つの形にまとめられたことはありませんでした。

本展「ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017」は、1960 年代から1980 年代初めまでに撮影された中から、未発表作品を含め新たにNew Edition として再構成し、更に近年2016 – 2017 年に撮影した作品を『続編』として編んだものです。

幻想的銅版画集、ゴヤの『ロス・カプリチョス』に惑わされた川田が、そのイメージの視覚化に没頭し、街を彷徨い、その幻影を追ったこの作品は、スナップ的な手法で、時に多重露光などの技法を用い、身近な日常風景、都市風景に不穏な影を落とし、現代に蔓延する社会不安から終末思想を体現してきました。その写真は見るものに違和感を与え、不安を煽り、私たちの心を揺さぶります。

本展では、当時のネガより新たに制作されたアーカイバル・ピグメント・プリントを展示致します。

あるとき、プラチナプリントの錬金術師といわれる一研究者から、「ロス・カプリチョス」全シリーズをプリントで見たいという話を聞きました。写真の発表をはじめて、10 年ほど経ったころ、そのシリーズは自己解放のような気持ちで取りくんだものでしたが、プリントをまとめるのを忘れていたのです。

かつて、同じ題名の個展(1986 年)を開いたときに、次のように書きました。

「ゴヤのエッチング集『ロス・カプリチョス=気まぐれ』や『ロス・デザストレス・デ・ゲーラ=戦争の惨禍』『ロス・プロベルビオス=妄』などを、繰り返し眺めているうちに、ゴヤの銅版に刻み込んだ幻影が、いつしか私の頭のなかに住みついたらしく、そのイリュージョンが目の前に現れてくるという時期がながいあいだ続いていた。夜、見た夢の続きを白昼また見ているようであり、イメージはますます錯綜し、混迷の度を加えているようでもあった」と。

過去の作品を様々な手法でスキャンすると、データに変換された映像は、みな古い光と訣別したように見えるのが不思議です。モニターにあらわれる不意の顔には新しい影をしたがえ、私と同時性の空間を漂っているのです。

光と影は異化され、複雑な感情をよびこんで、フォトジェニックな宙返りを何度か繰り返します。色彩のなかでさらに影がかわり、あの時の名残は、これから生きるものの妄執を想像させてくるのです。その動くイメージから、ストレンジな暴力がいつ襲ってくるかも知らないまま、アイロニーの重なるインスタグラムを編もうとしているのに気がつきました。見えたり見えなかったりするその影が、幻影のリアルを知らせてくれたのです。

川田喜久治

14, NOV. 2017 Tokyo




川田喜久治 (かわだ きくじ)

1933 年茨城県に生まれる。 1955 年立教大学経済学部卒業。『週刊新潮』の創刊(1956 年)より、グラビア等の撮影を担当。1959 年よりフリーランス。「VIVO」設立同人(1959〜61 年)。

主な個展に「ゼノン ラスト・コスモロジー」フォト・ギャラリー・インターナショナル [以下PGI](東京1996 年)、「カー・マニアック」PGI(東京1998 年)、「ユリイカ 全都市」PGI(東京2001 年)、「川田喜久治展 世界劇場」東京都写真美術館(東京 2003 年)、「地図」PGI (東京2004 年12 月-2005 年2 月)、「川田喜久治写真展 Eureka 全都市 Multigraph」東京工芸大学写大ギャラリー(東京2005 年)、「見えない都市」PGI(東京2006 年)、「川田喜久治展 ATLAS 1998-2006 全都市」エプサイト(東京2006 年)、「遠い場所の記憶:メモワール 1951-1966」PGI(東京2008年)、「ワールズ・エンド World’s End 2008〜2010」PGI(東京2010 年)、「日光-寓話 Nikko-A Parable」PGI(東京2011 年)、「2011-phenomena」PGI(東京2012 年)、「The Last Cosmology」Michael Hoppen Gallery(ロンドン2014 年)、「The Last Cosmology」L. PARKER STEPHENSON PHOTOGRAPHS(ニューヨーク2014 年)、「Last Things」PGI(東京2016 年)がある。グループ展多数。

作品は東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、テート・モダンなどにコレクションされている。



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2018.1.12(金) - 3.3(土)
11:00~19:00(土曜は18:00まで)
日曜、祝日休廊
PGI 106-0044 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F



by higashikawa_blog | 2018-01-06 19:57 | 受賞作家関連
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