赤レンガ公開ポートフォリオオーディション 2013
赤レンガ公開ポートフォリオオーディション 2013
一次審査に挑んだ20名が持ち寄ったポートフォリオの審査を行い、最終審査に進む5名を選考。2日目は作品をスクリーンに投影し、一般公開でプレゼンテーションによる審査を行いました。
オーディションの結果グランプリは2名選出され、ヨコハマフォトフェスティバルでの2人展開催と図録制作の権利が与えられます。また、優秀賞3名を含む全ての受賞者には東川産米が副賞として授与しました。
グランプリ
グランプリ 青木 陽 さん (東京都)
「火と土塊」
コメント:
学生の頃、不思議な友人がいました。
付合いも少なく授業に出席することも稀で家には帰らずに学内で暮らし、
絶版の岩波文庫のような珍しい古い本を読んでいつも一人で勉強し、折に触
れて学校の勉強では触れられることなかった様々な知識を披露してくれまし
た。
こんなこともあります。彼は独自の規範を自分に課していて、例えば一度の
外出でこなす用件は一つだけにすること、銀行に行くなら一旦もと居た場所
に戻らない内は買い物はしないのです。その様にして自分と世界との距離を
適当に保っているようでした。
一番不思議なところはあらゆる物にその本性の機能や意味と無関係に自由に
意味を見出し付与できるところでした。割れた壷と革の上っ張りでアフリカ
のドラムを作製したこともありますが、全然役に立たないまま儀式めいた配
列を決め組み合わせたり、はたまた見て来たようにその虚構の来歴を語った
りするのでした。私たちが突然の不幸や人生の岐路に立たされたときにやや
もすると自分自身や信じていた世界の在り様を見失って不安に怺えるのとは
違い、独力で自分の居るべき世界をどんどん新しく発見し創造していくそん
な人でした。
世界への扉はどこにでもあるんだよという昔の友人を思い出してこの写真を
撮りました。
グランプリ 堀井ヒロツグ さん(京都府)
「INNOCENT AGE」
コメント:
「INNOCENT AGE」というシリーズをつくっています。
イノセントとは、純粋無垢という表現があるように垢のついていない状態のことを指すと言います。
それは、一日を終えて家に帰り、風呂場というひとりきりの空間で身体の穢れを流していくイメージでしょうか。
あるいは、何者かになる前の「そのもの」の状態であり、
たとえば私たちが学校や社会に参入していくにしたがって変容していくさまと対比できるイメージかもしれません。
いずれにしろ、この頭上に降り注ぐ空気のように見えない「何か」にまみれながら、
むしろ、それらとのバランスをとることが「生きること」であることに、この現代という環境の特殊性を思います。
しかしどんな環境にあろうと、身体は意志とは無関係のところで息をし、生きようとしています。
この意識をまとっている身体のあげる声に耳を傾けることと、
写真というものを「見る」ことは、同じ作法の上にあるのではないでしょうか。
優秀賞
倉谷 卓 さん (東京都)
「風の肌理」
コメント:
ある田舎町の空気の密度、風の質感、の様なものを
写真に閉じ込める試みです。
佐藤 美佳 さん (東京都)
「イツモノカンコウ」
コメント:
「カンコウチ デ カンコウ ス
ル。」←スペースは全角でお願いします。
冨樫 加奈 さん (神奈川県)
「profile」
コメント:
賞を頂戴することができ、とても嬉しく思っています!
東川という初めての地で、たくさんの作品に触れとても刺激になりました。
私は人家の証明写真をテーマにポートレート作品を制作しています。
北海道の町並みや風景を見て、「写真を撮りたい!」という気持ちがとても高まりました。
写真を撮る意欲を充電でき、写真の良さを再確認することが出来ました。
このような機会を与えてくださり本当にありがとうございます。