第31回東川賞受賞作家展
31年目を迎える東川賞。長年にわたる写真文化の積み重ねをもとに、地域の力を踏まえ、国内外のネットワークを活かした共生型の町づくりを目指し、東川町は昨年「写真文化首都」を宣言しました。
今年の海外作家賞はニュージーランドを代表する写真家アン・ノーブルを迎えます。口を使って食べる、遊ぶという幼年期の行為を、独特の視点と色彩でとらえた「Ruby’s Room」。南極についての想像と現実のギャップをテーマにした「Antarctica」シリーズを、東川の展示空間にあわせて構成します。
国内作家賞は過去に新人作家賞も受賞している佐藤時啓です。代表作の「光―呼吸」シリーズに加え、今年スイスで撮影したカメラ・オブスキュラによる未発表作品や、東川の町で撮り下ろす予定の新作を展示。デジタル時代の写真の新たな可能性を提示します。
新人作家賞の春木麻衣子は、「みる」という行為について、切り詰められた表現のなかから、時間と空間の両側面に対する深い考察をうながす作品を制作してきました。「みることについての展開図」シリーズより、見ることの体験を問いかける実験的な展示を試みます。
特別作家賞の吉村和敏は、北海道北斗市にあるセメント工場を撮影した「CEMENT」シリーズからの出品です。日本を代表する巨大産業の現実と、その細部に宿る美を、即物的ともいえる眼差しによって浮き彫りにします。
地域に根差した活動を顕彰する飛彈野数右衛門賞。今年94歳になる反骨の写真家・福島菊次郎は、郷土の瀬戸内での体験を軸としながら、広島の原爆問題を皮切りに、戦後日本の問題を一貫して撮影してきました。1989年から制作をはじめ、これまでに数百か所で展示されてきた、福島自らが制作した移動展用写真パネルの展示です。
それぞれが次元の異なる課題に向き合い、多岐にわたる表現手段を用いた5作家の作品展。写真を巡る柔軟な思考が触発される場となるにちがいありません。
東川賞受賞作家展ディレクター 楠本亜紀

海外作家賞受賞作家 アン・ノーブル 氏




国内作家賞受賞作家 佐藤時啓氏




新人作家賞受賞作家
春木麻衣子 氏




特別作家賞受賞作家 吉村和敏氏




飛彈野数右衛門賞受賞作家 福島菊次郎氏




インディペンデンス展


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会期:2015年8月8日(土)~9月2日(水)
時間:10:00~17:30 会期中無休
料金:町内100 円、町外200 円
会場:北海道<写真の町>東川町文化ギャラリー
〒071-1423 北海道上川郡東川町東町1丁目19番8号
ホームページ:http://photo-town.jp/index.html