飯沼珠実氏 展覧会「三つ目の建築 - 書籍、住居そして森」
フォトふれ 展覧会のお知らせ。
POSTにて、飯沼珠実氏の展覧会が開催されます。
三つ目の建築 - 書籍、住居そして森

©Tamami Iinuma
以下リンクより
この度POSTでは、写真家の飯沼珠実の初となる作品集「建築の建築 - House of Architecture」の刊行を記念し、展覧会「三つ目の建築 - 書籍、住居そして森」を開催いたします。
通学路となった上野の森には、ル・コルビュジエの日本で唯一の建築作品、国立西洋美術館がある。それに向かい合う位置に前川國男の東京文化会館がある。前川國男は、ル・コルビュジエの弟子で、国立西洋美術館建設をサポートし、またその新館を手がけた。その先を進むと、木々の隙間から、ダークトーンの赤紫色をした煉瓦の積み重なりが見えてくる。これが、わたしが上野の森で一番好きな前川國男の建築作品、東京都美術館だ。東京都美術館が、わたしの日常的な風景に在りはじめて、この建築の姿やかたちだけではなくて、呼吸のリズムや内包する熱量のようなもの、上野の森との関係性、特に森との距離感の調律に気を惹かれるようになった。森がみせる多様な表情、毎日の天気や日差し、流れる季節と繰り返す樹木の繁茂と落葉、そういった森の営みと、とても密接に関わり合っているようなのだ。そして樹木たちも、前川建築を背景に嬉々として、舞でも舞っている様子にみえてくる。東京都美術館は、上野の森の住人なのだと感じるようになった。もうひとつ興味をもった感覚は、この建築が自分の目にどう映るかが、毎日の自分の気分や状態の指標、心鏡のような存在になりはじめていたことだ。うれしいことがあった日には輝きが増してみえた。何度目をこすって霞んでみえる日には、自分の緊張や抱えているプレッシャーに気がつかされ、森の中で深呼吸をした。また挑戦の日には、拝むような気持ちでみつめては、背中を叩いてもらったような気になっていた。ひとによってはそれが、食べるものであったり、着るものであったりするのだと思う。いつものコーヒーをいつも以上に味わい深く感じたり、逆に味を感じることすら忘れてしまう日もあるように。
(飯沼珠実「建築の建築」より)
平凡な建築を捉えた平凡な写真はしばしば社会学に近づいていく。家、納屋、ガソリンスタンド、工場などの記号的表象から、大都市がもたらす気持ちの空虚感、郊外の大型ショッピングモールの異常な消費活動の現場などが描かれる。一方で特別な建築は、しばしば著名な建築家によってつくられている。特別な写真というのは、被写体に選ばれた建築と写真で描き出された建築が
(ティボ・ドゥ・ルイテ「(他なる)建築の顔」より)
写真集「建築の建築 - House of Architecture」(POST刊)

写真:飯沼珠実
プロジェクトディレクション:大西洋 (shashasha Co.,Ltd. 代表)
アートディレクション:田中義久
執筆:大島忠智 (IDÉE バイヤー)、ティボ・ドゥ・ルイテ (建築家、キュレーター)、
富永譲 (建築家、法政大学名誉教授)、飯沼珠実 (アーティスト)
仕様:182mm x 230mm / 80 ページ / フルカラー
予価:3,600円 + 税
*********************************
会期:2016年1月30日(土)〜2016年2月18日(木)
■オープニングレセプション:2016年1月30日(土) 19:00〜21:00
■トークイベント
日時:2016年2月3日(水)19:30〜(19:00会場) ※要予約(リンクより)
参加費:500円
ゲスト:鈴木理策(写真家)
会場:POST
150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3 / 12:00 - 20:00 月曜休
リンク:http://post-books.info/news/