大西みつぐ氏 展覧会「NEWCOAST」
東川町国際写真フェスティバルにて、街撮り撮影会の講師をしてくださっている大西みつぐ氏の展覧会が開催中です。
NEWCOAST
以下リンクより
PGIで初となる大西みつぐ作品展を11月に開催いたします。大西みつぐは1952年生まれ、1974年に東京綜合写真専門学校を卒業。同校にて専任講師を務めながら写真家としてのキャリアをスタートしました。
デビュー作となる「WONDER LAND 1980-1989」から現在に至るまで一貫して、生まれ育った東京の下町と湾岸エリア、そしてそこに集う人間の所作を考察と撮影の対象として、作品を作り続けています。自身の視線を「眺める」視線と言い、被写体との独特の距離感には、目の前の光景に表象される時代への、作者自身の態度が垣間見ることができます。
今回PGIで展示する「NEWCOAST」シリーズは、大西が生活環境を深川から東京湾岸(江戸川区臨海町)へと移した1980年代後半、ちょうどバブルが膨れ上がり、首都圏のあちこちで再開発が始まった時期に撮影されました。
急激に自身を取り巻く環境を変えている「バブル経済」の只中で、実態がなく目に見えない実感を、印画紙の上に表した作品です。
ボート遊び、芝生の上で日焼けする人、行楽施設に大挙する人々、、、。
「アメリカ西海岸あたりの土産物屋で売っていそうな安っぽいイラストポスターの絵柄」のような風景の中にいる人々は、バブルの恩恵に熱狂しているというよりは、戸惑いながら居場所を探しているかのようです。
6x7の中判フィルムによるスナップショットには、目の前の光景に対して一定の距離を置いて対峙する作者の視線が見えてきます。それは<わからない><見えない>変化する風景にカメラを向け、写真で触れようとする写真家の戸惑いや苛立ち、見えないものを写したいという渇望を表しています。
現在から眺めた時、これらの写真は、ある時代・場所の現象の記録として重要であるだけでなく、日本の写真史の1ページとしても非常に重要な作品です。
大西の被写体への距離感には、ルイス・ボルツやロバート・アダムスといったアメリカのニュー・トポグラフィクスと呼ばれる写真家達が、1970年代後半に当時の若い日本の写真家たちにもたらした影響も見受けられます。
個人のまなざしと客観性を両立させようとするこうした表現は、その後の日本の写真に、今に至るまで大きく影響を及ぼしていることも、ひとつ重要な点と言えます。
それから30年、東京は、東日本大震災を経験し、2020年には東京オリンピックを迎えようとしています。
「久しぶりに夏の人工なぎさを歩いてみた。とりとめのなさは以前と変わらない。やってくる人々もこの時代の申し子のように見える。おまけに「東京湾にカジノを!」という儚い夢もまた膨らんでいる。そうして更新されていく日常とさらに向き合っていくことに気持ちの揺るぎはない。しかし東京湾岸部も東日本大震災以降、何らかの構造変化を強いられているはずだ。その深層の環境が見えてこないことに少し苛立ちを覚える」(大西みつぐ)
今回の展示では、1980年代後半に撮影されたNEWCOASTシリーズ、昨年夏から新たに撮影した「現在のNEWCOAST」と合わせてご覧いただきます。
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会期:2016年11月2日(水)ー12月22日(木)
時間:月 - 金 11:00 - 19:00
土 11:00 - 18:00
休廊:日・祝日 展示のない土曜日
会場:PGI
〒106-0044 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
リンク:http://www.pgi.ac/content/view/509/1/lang,ja/
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