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オスカー・ムニョス氏 ハッセルブラッド国際写真賞受賞


東川賞海外作家賞受賞者のオスカー・ムニョス氏が、ハッセルブラッド国際写真賞を受賞いたしました。

以下 ART Itリンクより転載

2018年3月8日、ハッセルブラッド財団は写真界に多大な功績を残した写真家やアーティストを表彰するハッセルブラッド国際写真賞を、ラテンアメリカを代表するアーティストのひとり、オスカー・ムニョスに授賞すると発表した。ムニョスには賞金100万スウェーデンクローネ(約1289万円)が授与される。今秋にはヨーテボリのハッセルブラッドセンターで受賞記念展を開催し、開催前日には授賞式、開催初日にはシンポジウムを行なう。また、新しい作品集もVerlag der Buchhandlung Walther Königから刊行予定。

オスカー・ムニョス(1951年コロンビア・ポパヤン生まれ)は、水や息など一過性の素材や型にはまらない素材を使ったポートレートのシリーズや、コロンビアの近現代における実存的な問題や政治的な問題を掘り下げた作品で知られる。ムニョスは70年代にコロンビア第3の都市、カリの美術学校で学び、在学中に写真イメージをもとにしたドローイングの制作をはじめた。以来、写真をはじめとする視聴覚メディアと、それらのメディアが持つ現実や意味形成との関係に関心を抱き、写真や映像、版画、ドローイング、インスタレーション、彫刻など幅広い表現形式で作品制作を行なう。70年代にラテンアメリカ各地で作品を発表し、2005年にはカリに美術や政治について語り合う場としての文化センター「Lugar a dudas(疑いの場)」を設立。2014年にはパリのジュ・ド・ポーム国立美術館で大規模な回顧展を開催している。作品は、ボゴタ近代美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館、ニューヨーク近代美術館、テート・モダン、ダロス・ラテンアメリカコレクション(チューリッヒ)などに所蔵されている。また、2016年には第32回写真の町東川賞の海外作家賞を受賞している。

ムニョスが80年代半ばに発表した「Cortinas de baño」(1985-1986)では、濡れたシャワーカーテンを支持体に人物像をシルクスクリーンで転写し、永遠に固定されるイメージを疑う幽霊のような像をつくりだした。「水」というムニョス作品に一貫する要素のひとつを扱う作品としては、洗面台に張った水面に粉炭で描いたセルフ・ポートレートが流れ去る様子を捉えたシリーズ「Narcisos」や、熱された敷石に水を使ってセルフ・ポートレートを描き、水の蒸発とともにイメージが消えていく様子を捉えた「Re/trato」(2004)が挙げられるだろう。そのほか、美術制作において一般的ではない素材を使用して、コーヒーで着色した角砂糖を使った「Pixeles」(1999-2000)や、たばこの焦げ跡を使った「Intervalos (mientras respiro)」(2004)といったポートレートを制作している。

コロンビア政府と麻薬カルテルとの抗争をはじめとする80年代、90年代の体験は、ムニョスの作品制作における重要な背景となっている。カリの街の航空写真を印刷した防弾ガラスを床面に敷き詰めたインスタレーション「Ambulatorio」(1994)は、観客が都市を上空から眺めつつ、ガラスの床面を歩くことができる。また、壁面に並んだ鏡に観客が息を吹きかけると、その鏡面につかの間だけ遺影が浮かび上がるインスタレーション「Aliento」(1995–2002)や、映像の再生と逆再生を駆使した「Sedimentaciones」(2011)では、イメージの出現と消滅のプロセスを生と死の問題に重ね合わせる。「Editor Solitario」(2011)や「El Coleccionista」(2016)といった近年制作した作品では、政治的な記憶や歴史の構築といったテーマに取り組んでいる。

受章者選考委員会の委員長を務めたマーク・シーリー(オートグラフABPキュレーター兼ディレクター)は「世界的に不安定な政治情勢が続き、人々の不安が高まる時代に、オスカー・ムニョスの作品は、私たちがいかに傷つきやすい存在なのかを思い出させてくれる。彼が手がけた幅広い作品群は、私たちが決して文化的、政治的に隠滅される歴史上の出来事を忘れることはないと確信する証拠となる」と評した。シーリーのほか、マルタ・ジリ(ジュ・ド・ポーム国立美術館ディレクター)、ポール・ルース(ライアソン・イメージセンター ディレクター)、ビシ・シルバ(ラゴス現代美術センター創設アーティスティックディレクター)、フリンプシーメ・ヴィッサー(アムステルダム市立美術館写真部門キュレーター)が受章者選考委員会の委員を務めた。

ハッセルブラッド国際写真賞は1980年に故ヴィクター・ハッセルブラッドの遺言を受け、優れた写真家の写真表現における先駆的な実験や後続世代に与えた影響といった業績を讃えるために創設された(エルナ・ハッセルブラッドが他界した83年のみ開催せず)。過去には、濱谷浩(1987)、杉本博司(2001)、石内都(2014)も受賞している。




by higashikawa_blog | 2018-03-14 17:59 | 受賞作家関連
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