エレナ・トゥタッチコワさん 展覧会「With Ice, Comes New Sun」
フォトふれ 展覧会のお知らせ。
ウナベツ岳メーメーベーカリーにて、エレナ・トゥタッチコワさんの展覧会が開催中です。
With Ice, Comes New Sun
毎年この土地にやってくる流氷。「流れる氷」、英語でいうと「drift ice」、その名前から想像するのは、どこか遠くの場所から海流と風に乗ってそのままの姿で流れてくる、たくさんの小さな島のような氷の板。凄まじい力を持つ、人間や鹿が乗っても割れないほど固く厚い存在であるのは事実なのだが、最初からそのような姿ではない。氷の泥から始まり、時間をかけて、国境を超えて、何キロもの距離を辿って、その間の全距離の海の宝物を吸収して、やがてこの知床半島の付け根に当たる斜里町へと、私たちの知っている姿になってやってくる。そして春になると、そのまま、オホーツク海に溶けて、沢山の栄養分を残して消えていく。このような流氷は、人間の概念で言ってみれば、もっとも自由な精神を持つ自然現象ではないか。さらにそれは、人間にとても似ているのではないか。遠くからやってきたものだが、この土地に住む動物や人間、自然のサイクルにとって欠かせないものになっている。人間は動物と同じように、移動しながら場所を探し、辿り着いた場所と向き合いながら住み、やがて消えていくが、流氷のように、栄養分と精神と遺伝子を残し、その場所の歴史や文化を作る。毎年、流氷の変化とともに、自然と人間が次の季節に向かって、日に日に変わって行くことを眺めると、この土地の持つ生命力に感心し、希望 と喜びを感じる。
(エレナ・トゥタッチコワ)
開催に当たり
この度は、エレナ・トゥタッチコワによる、今年の流氷の季節に制作した、新しい映像作品の上映を「メーメーベーカリー」にて開催します。「アーティスト・イン・シリエトク」の協力をもとに企画した、昨年に続くトゥタッチコワによる展覧会シリーズです。
エレナは、2014 年の夏以降、知床へ何度も通い制作を続け、多くの斜里町民、知床自然センター、斜里町児童館などの協力のもと、展覧会やワークショップを開催し、歩くツアーなども行ってきました。斜里町峰浜地区にある「ウナベツ岳メーメーベーカリー」は、エレナ にとって、知床でのフィールドワークと滞在制作のベースキャンプとなった場所です。「メーメーベーカリーは、かつて開拓民の村があった 場所の近くの、山の麓にある道路の一番高台に建っている。山もオホー ツク海も見えるこの古い北海道の家は、私にとって知床の全ての道の起点となる場所なのだ」とエレナは述べています。 残念なことに本展覧会は、この会場では最後の展覧会となります。4月以降、メーメーベーカリーは一旦閉店し新たな場所を探す旅に出発します。「メーメーベーカリー」は、峰浜を含め斜里町内に住む多くの人 ― 移り住んできた人、斜里に生まれた人 ― にとって愛され続けてきた場 所であり、みんなの心のベースキャンプだったのではないでしょうか。この展覧会は、人間として移動や移住すること、住む場所と自然と向き合うことについて、一人一人考える場となれば幸いです。「ウナベツ岳メーメーベーカリー」がまた新たな素晴らしい場所に出会うことを願って。
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主 催:アーティスト・イン・シリエトク、 ウナベツ岳メーメーベーカリー
問合せ:シリエトクノート編集部 (中山 090-7516-6786) http://siretoknote.main.jp
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2018.3.23 fri - 25 sun / 3.30 fri - 4.1 sun
ウナベツ岳メーメーベーカリー
北海道斜里郡斜里町峰浜233
午前11時~午後5時