石内都氏 展覧会「Body Politics: What Defines the Body?」
東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYにて、石内都氏の展覧会が開催中です。
Body Politics: What Defines the Body?

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2018年6月30日(土曜日)より、「身体を定義づけるものとは何か?」を主題に写真表現を行うアーティスト7名によるグループ展『Body Politics: What Defines the Body?』を、韓国芸術経営支援センターの支援プログラム「韓国機関招請協力展示支援事業」の後援と韓国出版企画社IANN協力のもと開催します。
私たちが最も身近に感じているはずの自身の「身体」は、しかしながら曖昧な認識の集合体であり、不安定で不明瞭なものでもあります。鷲田清一氏(哲学者、京都市立芸術大学理事長・学長、せんだいメディアテーク館長)は著書『ちくはぐな身体』(2005年、ちくま文庫刊)のなかで、哲学者ニーチェの言葉を参照しながら、「各人にとって最も遠い存在とは自分自身の身体ではないか」と指摘しています。
「胃カメラやレントゲン写真で見せてもらい、これがあなたの身体です、と言われても、なんとも実感がともなわない。ことじぶんの身体にかんしては、知覚情報はなんとも乏しいのだ。(中略)だれもじぶんの身体の内部はもちろん、背中や後頭部でさえじかに見たことがない。ましてや自分の顔は、終生見ることができない。ところがその顔に、自分ではコントロール不可能なじぶんの感情の揺れが露出してしまう。なんとも無防備なのだ。(中略)ぼくの身体でじかに見たり触れたりして確認できるのは、つねにその断片でしかないとすると、離れて見ればこんなふうに見えるんだろうな……という想像の中でしか、その全体像をあらわさない。ぼくの身体とはぼくが想像するもの、つまり〈イメージ/像〉でしかありえないことになる。
見るにしろ、触れるにしろ、ぼくらは自分の身体に関してはつねに部分的な経験しか可能ではないので、そういうばらばらの身体知覚は、ある一つの想像的な「身体像」を繋ぎ目としてたがいにパッチワークのようにつながれることではじめて、あるまとまった身体として了解される。(中略)
ひとは、こうした〈イメージ/像〉としての身体のもろさを補強するために、いろんな手段を編み出す。つまり、〈わたし〉というものの存在の輪郭を補強することで、じぶんのもろい存在がかもす不安をしずめようとする。そのために、たとえば皮膚感覚を活性化することで、見えない身体の輪郭を浮き彫りにしようとする。熱い湯に浸かったり、冷水のシャワーを浴びたり、日光浴したり、スポーツで汗をかいたりする。あるいは、他人と身体を接触させたりする。(中略)
なぜこういう行為が心地よいかというと、たとえばお風呂に入ったりシャワーを浴びたりすると、湯や水と皮膚との温度差によって皮膚が刺激され、皮膚感覚が覚醒させられる。ふだん見えない背中や太股の裏の存在が、その表面のところでくっきり浮かび上がってくる。視覚的には直接感覚することのできない身体の輪郭が、皮膚感覚という形でくっきりしてくるのだ。」(1)
〈イメージ/像〉でしか経験しえない私たち自身の身体性。本展では、この身体性について言及するフィンランド、韓国、日本の合計3カ国より7名の写真作品を一堂に会し、皮膚の表面で皮膚感覚が活性されようやく知覚され得る身体の輪郭を探るかのように、現代社会における「身体性」を定義づけるものとは何かを思考いたします。
参加作家
石内都、片山真理、安瀬英雄、マイヤ・タンミ
アン・ジュン、キム・ジンヒ、アン・オクヒョン
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2018年6月30日(土)~ 2018年8月24日(金)
火曜日〜金曜日 13:00〜20:00 *7/7(土)は12:00〜17:00まで
土曜日 12:00〜19:00 (日・月・祝休廊)
*夏季休廊: 8/14(火)〜8/18(土)
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
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