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藤本涼さん 展覧会「クラウドフォーカスの行方」


フォトふれ 展覧会のお知らせ

BankART SILKにて、藤本涼さんの展覧会が始まりました。


クラウドフォーカスの行方

藤本涼さん 展覧会「クラウドフォーカスの行方」_b0187229_17100161.jpg


以下リンクより

ダ・ヴィンチの「モナリザの微笑」の背景は、実在した風景ではない。どこか実際の風景を変形して描いているか、あるいは様々な風景を合成して、「存在した」ように描いているといえよう。微笑のなぞは、多様に論じられてきたが、こうした背景(存在)に対する執拗とも思える表現だけをとってみても、迷宮入りの問いかけへと人々を誘う。藤本氏の作品に登場する具象的なイメージも、どのようにあったのか、どこからきたのか、実際にそれが存在した状態とはほど遠い領域で表現されているのがわかる。モチーフをさほど変形しているとは思えないが、その背景(全体)の空間は、いくつかの「装置」によって写真表現とは距離をとった、絵画表現からも遠ざかろうとする作者の視点が見てとれる。手続きはそれほど複雑なものではない。モチーフを撮る(デジタル)モチーフの抽出(デジタル写真の背景を消去する)それをOHP シートにプリントそれに他の素材を重ね合わせそれらを構成してポジフィルムで撮影写真をとるというリアルな行為からスタートし、最後には再び写真をとることでループを閉じる。藤本氏はこの循環系の中で、人間がコントロールできない光の物理学と化学反応(写真)、そして絵を描く(構成する)という、人間しかできないが、完全にコントロールもできない行為に戯れているといえよう。F1レーサーのアイルトン・セナは、「目の前の車にも、風景にも、後続の車にもフォーカスしない。全体を雲のようにとらえる。フォーカスした瞬間に、距離がなくなり、アクセルとクラッチの往復運動になってしまいスピートが落ち、安全性が欠落するからだ」というようなことを語っている。このクラウド走行とでもいうべき、セナの走りを藤本氏のフォーカスシステムに例えるのはせっかちかもしれないが、写真で撮ったものを再び写真で撮るという行為の中に、藤本氏は、「遠ざかり」と「距離」の感覚が醸成してくるのを待っているのは確実であろう。


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会期:2019年6月14日㊎~7月15日㊊㊗(会期中無休)
開館時間:11 : 0 0~19:00
アーティストトーク:6月29日㊏19:00~20:30
入場料:写真集付入場料900円/入場のみ200円
写真集(B5版/80p/ハードカバー/テキスト:伊藤俊治)
BankART SILK 〒231-0023 横浜市中区山下町1番地 シルクセンター内1F




by higashikawa_blog | 2019-06-16 17:12 | 受賞作家関連
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