鈴木のぞみさん 展覧会「Monologue of the blank」
鈴木知佳は、透明のアクリルを彫る「空白のドローイング」のシリーズを展開しています。あたかもそこに1枚の紙が虚空に浮かんでいるようで、しかし実際そこには紙1枚分の空間を存在させている、すなわち紙一枚分「ない」という、視覚で獲得されるイメージと裏返しの状況を生み出します。繊細なストロークによって高いリアリティを伴わせ、そのことでより一層の不思議で哲学的な気配を鑑賞者の心に届けます。
鈴木のぞみは、鍵穴などの生活環境にあるさまざまな光の通り道となりうるものに、それ自体をピンホールカメラに見立てるなどの手法を経てそこを通過するヴィジュアルを可視化する作品を発表しています。本展では、自身がレジデンスで滞在した部屋に差し込む光を、図面などに使用される青焼きの手法を用いて便箋に映し取った作品を発表いたします。
かたちとしてそこに存在しないものをそれぞれのアイデアとアプローチで可視化した作品群がひとつの空間に収まり、清々しい緊張感を帯びた静謐さが鑑賞者を包み込みます。ぜひともこの気配を感じていただきたい、と思う次第です。
12:00~18:00