野村恵子氏 展覧会「月刊 冨手麻妙 ~Ami Tomite~」

この冬に、彼女のデビュー十周年を記念して写真集を出版する話があり、初めて会った時、彼女は私の眼をまっすぐに見つめて言った。「できれば、あなたと旅がしたい。旅の偶然性の中で私を撮ってほしい。」と。そして私は「暖かいところがいいね。ベトナムに行かない?」と、彼女を誘った。私は写真家としてのデビューの頃から、この地に何度も通っていた。ベトナムの独特の土地文化と、小説や映画などで何度となく描かれてきたベトナムを舞台とした物語が大好きだったから。いま、写真で冨手麻妙という女優が主役の新しい作品が出来たことがうれしい。百年後もこの写真作品が残ることを信じたい。ぜひ、ごゆっくりとご高覧ください。(文・野村恵子)
園子温監督の『アンチポルノ』で主演、その後も園作品で重用され、様々な作品での体当たりの演技が魅力の冨手。今回はデビュー10周年という節目に、自身にとって大きな意味のあるものだというヌードの写真集に挑戦した。同作では、第28回林忠彦賞を受賞したばかりで、研ぎ澄まされた眼差しと優れた色彩感覚が評価されている写真家・野村恵子氏をカメラマンとして起用。ベトナムで行き当たりばったりの旅をしながら、勢いのある2人が体を張って向き合って生まれた、熱を感じさせる写真集となっている。