飯沼珠実さん 展覧会「Japan in der DDR – 東ドイツにみつけた三軒の日本の家/二度消された記憶」

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2019年11月9日(土)より飯沼珠実個展『Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家/二度消された記憶』を開催いたします。本展のオープニングは、ドイツを東西に分断していたベルリンの壁が1989年11月9日に崩壊した30年目の節目に合わせて行います。
飯沼は、ライプツィヒ/パリ/東京の三都市に活動拠点をおき、建築/写真/出版のメディウムを自身の身体を通し論理的に構築しながら、発表活動を行ってきました。本展は、東ドイツで日本人が建設を行った三都市にまたがる三軒のホテルを丹念にリサーチし、5つの章にまとめあげた渾身のプロジェクト〈Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家〉の出版記念展として、「第4章 二度消された記憶」に焦点を当てて開催いたします。
2014年当時、東京藝術大学大学院博士後期課程に身を置いていた飯沼は、ライプツィヒ、ドレスデン、ベルリンの各都市に鹿島建設が受注したホテルがあることを知ります。現地を訪れたり、関係者へのインタビューを実施しながら、様々な文献資料を調査していく過程で、建設事務所の空巣被害をつきとめました。この事件で盗まれたのは、「ドイツマルク現金」と35ミリフィルムカメラの中に入っていた「フィルム」で、カメラ本体はこじあけられた金庫内に残されていたといいます。
この奇妙な出来事に着想を得た飯沼は、自身も35ミリフィルムカメラのCONTAX T3を手にし、グランドホテル・ベルリン界隈を撮影しました。帰国後に東京の現像所にそのフィルムを持ち込み、翌日ピックアップに行くと、現像機の整備不良のためにフィルムがダメージを受け、イメージが白く消えてしまうという出来事に遭遇します。一見すると偶発的にもみえるこれらの出来事ですが、一度目は時代背景を省みるとシュタージ(秘密警察)のスパイによるものとも考えられ、二度目はいわば人災に起因しており、その記憶はまさに「消えた」と言うより「消され」てしまったのです。
1979年の東独の空巣事件、そして2016年の東京の現像所の事故。〈Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家〉の第4章として、二度に渡って消されてしまった記憶の痕跡をたぐる本展を、是非ご高覧いただけますと幸いです。
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2019年 11月9日(土)~ 2019年12月 14日(土)
火〜金 13:00-20:00|土 12:00-19:00
(日・月・祝休廊)
※短縮営業:12月7日(土)12:00〜17:00
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY 〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布5F