尾仲浩二氏 展覧会「Faraway Boat」
『slow boat』(2003)、『twin boat』(2013)、そして今作の『Faraway Boat』と、尾仲は80年代から90年代末に撮影したモノクローム作品をまとめた写真集に「boat」という言葉を用いています。
時間の経過とともに人間の記憶は薄れていきます。そして一般的に写真は、この失われていく記憶を留めおくために撮るものとも言えます。しかし尾仲にとっての写真は、この忘却のプロセスに抗うためのものではないようです。
「古い写真と言ってしまえばそれまでだが、僕にはなんとなく分かっていた。いつどこで撮ったのかはそれほど大切なことではないし、なぜ撮ったかなどどうでもいいことなのだ」(『Faraway Boat』あとがきより)
岸に立ち見つめる船影が、水平線のかなたにゆっくりと消えていくように、撮影から20年以上の時を経て、撮影時の様々な記録や気持ちが遠のき、最後に写真だけが残る。尾仲は自分が撮った写真が、自分から離れていくこの瞬間を、ずっと待っていたのかもしれません。
「時の流れの中を漂う船、それが写真だと思う」-尾仲浩二-
- 会場:POETIC SCAPE
- 住所:東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
- 会期:2020年 9月30日− 11月7日|休廊:日曜〜火曜
- 時間:水曜〜金曜(予約不要)13:00-19:00 |土曜(要予約)11:00-19:00
- ◉オンライン予約(土曜)
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- <関連オンラインイベント>
- ◉トークセッション(POETIC SCAPE YOUTUBEチャンネルにて録画配信予定)
・尾仲浩二×天野太郎(横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員)
配信スケジュールなど詳細は、POETIC SCAPEのSNSでお知らせいたします。