岡⽥敦氏 写真展 「Light at the Edge of the World」

「この⼟地には⼤地が誕⽣したときの匂いが残っている」 ある作家が北海道根室半島の⾃然をそうあらわした。半世紀以上前に書かれた本のなかで紡がれていた⾔葉だが、僕は根室の深い森のなかにいるとき、あるいは切り⽴った海岸線を歩いているとき、この⾔葉を思いだす。根室の⾃然は静けさに満ち、原始的で、圧倒的に美しい。数百年前も、数千年前も、いまと同じような光景が⽬の前にひろがり、そのときの⼟地の匂いや光がいまもなおこの半島に吹く⾵のなかに漂っているように感じられる。 沖合に浮かぶユルリ島はより幻想的だ。根室の街からわずか数km先にありながら、多くの⽇を濃い霧でおおわれ姿をくらまし、ベールに包まれたその無⼈島のなかでは、野⽣化した⾺が霞をはむように静かに暮らしている。 早朝の濃い霧のなか、光をまとうように姿をあらわした⾺の群れが、⽬の前を通りすぎ、静かにまた霧のなかへ消えてゆく。そうした光景を僕はこれまで何度も⽬にしてきた。穏やかで、雄⼤で、優しく命を包み込む。最果ての地にさす光は、いつも僕に世界の美しさを教えてくれる。
写真家 岡⽥敦
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2020年9月25日(金)~10月28日(水)
11:00-19:00
月曜休館
LUMIX GINZA TOKYO 東京都中央区銀座5丁目1-8 銀座MSビル


