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Reborn-Art Festival 2021-22


東川賞受賞作家 アートフェスティバル参加のお知らせ

Reborn-Art Festival 2021-22に、岩根愛氏、片山真理氏、志賀理江子氏が参加しております。


Reborn-Art Festival 2021-22

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以下リンクより

表現の新たな動きと場をつくる 「利他」と「流動性」

震災から10年の月日が経った被災地でも新型コロナウイルスの影響による移動自粛モードが続いている。

農業などをやるということでもない限り、 地に足のついた生き方というのはなかなか見出しにくい現代の経済社会で、 多くの人が足止めを食ったままだ。 その理由が感染への不安や恐怖だ。

見えないものの流動性の怖さ——自然界の産物であるウイルスの流動性への懸念から、 人間の移動を伴う流動性が抑えられている。

一方、 見えないものの流動性は別のところでも高まり、 デジタルによるテレワークやコミュニケーションによって、 新たな思索、 感情、 アイデアなどが、 今まで当たり前にコントロールしていると思っていた日常をすり抜けて、 移り変わったり、 新たな出会いを作ったりして、 化学反応を起こしている。

震災後の被災地がそれに似ていた。

リボーンアート・フェスティバルを作り出していく過程で、 大きなネガティブな出来事があったからこそ生まれた新たな出会いと化学反応。 それは、 自然の流動性の様(さま)を傍らで感じながら、 生命が胎動するような実感 「いのちのてざわり」 を生み出していった。 そしてそれも永遠ではなく、 流動性と共にある。

美術批評家の椹木野衣氏によって 「悪い場所」 と名付けられた日本、 東北。 安定しない地盤や多くの水害に昔から悩みや不安を抱えながら人々が生きてきた 「悪い場所」 。 不安定な流動性を抱えた場所。

しかし、 だからではないか。

その都度振り出しに戻ったり、 弱者の視点に立ったりするなかで、 何に向かって何を感じて生きていくのか——人類が文明というものを生み出す大元に立ち返るような心の動きが流動性のなかに潜んでいるのではないか。

コロナ禍の状況も踏まえてはっきりと輪郭を持ち始めた言葉がある。

それが 「利他」 。

「利他」 は今、 その定義が漢字の持つ意味合いよりも曖昧だが、 それがさらに広く捉えられ、 全体とのつながりをイメージしていくような言葉としても機能しているようだ。 敢えて言えば 「利他的なセンス」 なのか。

持てる者が持てない者に物質的な施しを与えるというようなことには留まらない、 慈善活動のような思いには留まらない、 共に生きるという視点がそこにあると思う。 さらにそれは人間社会にも留まらない 「人間も自然の一部である」 という認識も含めて、 自己と他者の境界を流動性で捉えていくというイメージも起こさせる。

生き物というのは個より種を大切にするように進化して、 人間だけが生き物のなかで初めて種よりも個の自由を選ぶようになった。 これは、 進化の段階としてなのか、 資本主義の限界としてなのか、 個の自由がひいては 「利己」 を増幅するという結果を招いている。

個の自由は進化のためにも必要で、 人種やジェンダー、 障害の有無など様々な面で今はそれがより開かれてきている。 だからこそ、 わたしたちは 「利他的なセンス」 を取り入れる必要がある段階にきていると思う。

奇しくもウイルスからも教わることになった 「人間は自然の一部である」 ということが、 サステナビリティへの想いを後押ししてくれるようになった。

SDGs (*1) や ESG 投資 (*2) などを意識している経済や企業の指針にしても、 世界がだんだん変わろうとしているのを感じる。 それが充分かどうかというのはもちろん別の問題で、 そこに実感を見出していくためにこういった芸術祭が必要なのだと思う。

そこで思い出されるのはやはり震災直後の、 東北の人々のつながりのなかに生まれていった利他の思いだ。 あの時、 流動性とともに利他のセンスが爆発的に増えていた。

震災から10年を経た今、 コロナ時代のなか、 人間が知りえること、 コントロールできることなどたかが知れていると自戒の念を持つに至った今、 自然の、 宇宙の一端であることとつながりを想像力と創造性で補って、 描いて、 喜びを持って、 楽しんで、 記憶に残していくことがリボーンアート・フェスティバルの役割なのではないかと感じている。

利他と流動性。

それは表現の新たな動きと場をつくると思う。


*****************************

Reborn-Art Festival 2021-22
— 利他と流動性 —

【 会期 】

ー 夏 ー
2021年8月11日(水)~ 9月26日(日)
※ 休祭日 : 8月18日(水)、 9月1日(水)、 9月15日(水)

ー 春 ー
2022年4月23日(土)~ 6月5日(日)


【 会場 】

ー 夏 ー
宮城県 石巻市街地、 牡鹿半島(桃浦・荻浜・小積・鮎川)、 女川駅周辺

ー 春 ー
石巻地域


【 鑑賞時間 】

ー 石巻市街地エリア ー
平日・土日祝 10:00 - 17:00
(16:30最終受付)

ー その他のエリア ー
平日 10:00 - 16:00(15:30最終受付)、
土日祝・8月13日〜16日 10:00 - 17:00(16:30最終受付)

※施設、作品によって異なる場合があります






by higashikawa_blog | 2021-08-16 14:17 | 受賞作家関連
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