北野謙氏 展覧会「すみだ向島EXPO2021」
すみだ向島EXPOは、東京の下町で独自の進化を遂げ続けてきた、すみだ旧向島エリアを舞台にした街なか芸術祭です。「新しいまちづくり」と「アートフェスティバル」の融合を試み、第一回目となる昨年は約二か月間の会期中に3,000名に及ぶ方々に訪れていただきました。
本EXPOでは、向島エリアに多く残る住居同士を板で仕切った一棟建ての集合住宅=「長屋」が戦前から育んできたユニークな生活文化の価値を、社会が変革する今あらためて評価しながら、 現在まで受け継がれてきた風景や文化をアップデートし次世代に継承していくため、建築と人・芸術を通じてその価値を内外に発信いたします。
向島エリアは、江戸の庶民の暮らしを引き継いだ戦前の長屋がもっとも多く残る地域です。人口の多い東京だからこそ生まれた長屋文化は、お互いを受け入れる “隣人との幸せ” を形成してきました。
一方で、古くからの木造建築が密集するため、防災や街づくりの観点でも長年課題を向けられてきた場所です。だからこそ、2000年に開催された「向島博覧会」を皮切りに、約20年も前から国内でも先進的な取り組みとして、まちづくりとアートの試みが行われてきました。すみだ向島EXPOは、これらの地域課題とコロナ禍における課題の双方の解決に繋がることを目指しています。
すみだ向島とつながりのある “市民” で形成されたフラットなチームは、今後シビックテックの仕組みも取り入れていき、コロナ禍で変革するこれからの社会に必要な共同体を、東京の下町で実現します。
昨年はコロナ禍で東京の芸術祭が軒並み中止される中、本EXPOが無事に会期を終了することができたのは、この街の地域性や住民との関係、20年前から続くまちづくりノウハウの貯蓄、三密回避を考慮した人数限定の受け入れ体制など、一筋縄ではいかない関係構築と仕組みによるものです。
今年は来場者数を1日200名限定とし、「観光地ではない一般市民の住むエリア」で、無理なく安全に楽しんでもらえるよう設計いたします。
なおこの活動は、今年発足予定の空き家の有効活用を通じた景観保護・文化継承に取り組む「八島花文化財団」へと続きます。すみだ向島EXPOは一過性のイベントではなく、この街へのゲートです。人と人とが親密な関係になる体験を提供します。見落とされたら消えてしまう価値を、本EXPOに関わる全員で残し、豊かさを次の世代へと引き継いでいくことを目指します。
【企画名】すみだ向島EXPO2021
【テーマ】「隣人と粋でいなせな日」
【開催期間】2021年10月1日(金) - 10月31日(日)
【開催場所】東京都墨区旧向島エリア
【受付】墨田区京島3丁目50-12 京島駅(元米屋)
【チケット】前売:2,500円 / 一般:3,000円 / 学生応援価格:1,000円 / 小中学生:500円
ご購入はこちら▶https://sumidaexpo.peatix.com/
【企画内容】街中でのアーティストプロジェクト、様々なテーマ展、大学と連携した研究発表、地域内外の人びとやスペースを繋げるプロジェクトやツアー、宿泊などの体験プログラムなど
【隣人プロジェクト】明治大学山本俊哉研究室、千葉大学dri環境デザイン研究室 等
【隣人プラットホーム】七軒長屋, 京島駅, 三軒長屋旧邸, 爬虫類館分館 等
【参加アーティスト(第一弾)】 さわひらき、サイドコア、タノタイガ、村尾かずこ、北野謙、田原唯之、クサムラマッドラット、市川平 等