展覧会「オルタナティブ! 小池一子展」
日本で初めての"オルタナティブ・スペース"を創設した小池一子は、1960年代以降の日本のクリエイティブ領域の黎明期を、コピーライター、編集者、クリエイティブ・ディレクターとして牽引し、80年代よりアートの現場でもその活動を展開してきました。新進作家を支える場として小池が開設した"オルタナティブ・スペース"「佐賀町エキジビット・スペース」(1983-2000)の姿勢は、同時代の社会に向けて実践的かつ純粋な思考への希望を示唆するものでした。
本展は、小池の仕事を「中間子」「佐賀町」と名付け、大きく2部構成で紹介します。小池の現代美術への情熱を具現化させた作家の作品展示を軸に、コピーライト、編集、翻訳、キュレーションなどの小池の仕事を紹介しながら、領域を超えてクリエイターの表現を裏方の立場で下支えする土壌を開拓したその活動を総括するとともに、同時代の芸術家やクリエイターたちの軌跡にも迫る展覧会です。
展示I.「中間子」エリア 編集、執筆、翻訳、コピーライト、キュレーション
「中間子」とは、日本初のノーベル賞受賞の主題に着想し、何かと何かを結びつけて新しい価値を生むという小池の仕事の象徴として選んだ言葉です。デザインやアート、そのものではないが創作に関わる共作を"見える化"する意図を込め、クリエイティビティ溢れる活動をアーカイブ資料を中心に展観します。
<主な展示>
□編集/執筆の仕事
雑誌『週刊平凡』「ウィークリー・ファッション」(1959)/タブロイド判『森英恵の流行通信』(1966)/雑誌『装苑』(1966-77) ほか
□翻訳の仕事
『花もつ女―ウエストコーストに花開いたフェミニズム・アートの旗手、ジュディ・シカゴ自伝』(1979、パルコ出版)/『アイリーン・グレイ 建築家・デザイナー』
(1991、リブロポート/2017、みすず書房) ほか
□コピーライトの仕事
ポスター「Power Now」「Yes, No」(1968)アートディレクション:石岡瑛子、studio 200/ポスター「もっと感覚的に生きられるはずだ。」(1979)作品:大竹伸朗、アートディレクション:田中一光/西友ポスター「風、咲く日。」(1981)アートディレクション:佐村憲一、写真:広川泰士/西友ポスター「きみにパワーを。」(1982)アートディレクション:佐村憲一、写真:広川泰士 ほか
□各キュレーションの仕事
「浪漫衣裳」展 (1980、京都国立近代美術館)/「フリーダ・カーロ展」(1989、西武美術館)/「ヴェネチア・ビエンナーレ第7回国際建築展日本館『少女都市』」(2000)/「田中一光とデザインの前後左右」(2012、21_21 DESIGN SIGHT)ほか
□無印良品
1980年、西友のプライベートブランドとして、生活の原点を見直すことからはじまった「無印良品」。小池がコピーライターとして携わった発売当時の仕事から、現在に至る仕事を俯瞰します。
主な展示:コピーライトを担当したポスター/書籍・冊子/TVCM(1981)ほか
展示構成Ⅱ. 「佐賀町」エリア
1983年に日本初のオルタナティブ・スペースとして東京・永代橋際に誕生した「佐賀町エキジビット・スペース」は国内外を問わず今活躍する現代美術家の孵化器といわれ、2000年の閉廊までに106の展覧会やパフォーマンスなどの表現活動を実現しました。同スペースで展覧会を行った作家による、当時の貴重な作品を多数展示します。
<出品作家>
大竹伸朗、岡部昌生、片山雅史、小金沢健人、駒形克哉、シェラ・キーリー、シュウゾウ・アヅチ・ガリバー、佐藤時啓 × 野村喜和夫、白井美穂 × 浜田優、白川昌生、杉本博司、立花文穂[会場:B111(B1F)]、内藤礼[会場:sagacho archives(B1F) *完全予約制]、巻上公一、森村泰昌、横尾忠則、吉澤美香、ヨルク・ガイスマール 〇 写真:林雅之「定点観測」
<内藤礼《地上にひとつの場所を》1991/2022 会期中の鑑賞に関するご案内(完全予約制)>
本展では、「sagacho archives」(B1F B110)にて、内藤礼《地上にひとつの場所を》1991/2022を公開します。ご鑑賞は完全予約制です。
時間:11:00-19:00(最終入場は閉場30分前まで)
休場 : 会期中無休 *sagacho archives」(B1F B110)の内藤礼作品(完全予約制)は毎週月曜日、2022年2月21日(月)〜23日(水)休廊
料金:一般 1,000円、シニア(65+)・学生800円、ミューぽん800円