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オノデラユキ氏 個展「ここに、バルーンはない。」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ

RICOH ART GALLERYにて、オノデラユキ氏の個展が始まりました。


「ここに、バルーンはない。」

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©オノデラユキ

以下リンクより

こ の 度 、 R I C O H A R T G A L L E R Y で は 、 パ リ を 拠 点 に 活 動 す る 写 真 家 ・ オ ノ デ ラ ユ キ の 個 展 「 こ こ に 、バ ル ー ン は な い 。」を 開 催 い た し ま す 。本 展 は 、8 階 と 9 階 の 二 つ の フ ロ ア を 使 用 し て 、 S t a r e R e a p に よ る 立 体 印 刷 の 最 新 作 に 加 え 、 オ ノ デ ラ 自 身 が こ れ ま で の 作 品 か ら セ レ ク ト し た 作 品 か ら 構 成 さ れ た 展 覧 会 と な っ て い ま す 。

オ ノ デ ラ は デ ビ ュ ー で あ る 「 第 一 回 写 真 新 世 紀 」( 1 9 9 1 年 ) か ら 現 在 に 至 る ま で 、 写 真 と い う メ デ ィ ア の 枠 組 み を 超 え た 作 品 制 作 を 続 け て き ま し た 。1 9 9 3 年 か ら パ リ に 拠 点 を 移 し 、 世 界 を 舞 台 に 作 品 を 発 表 し て い ま す 。 そ の 写 真 へ の ア プ ロ ー チ は 多 彩 で あ り 、 カ メ ラ 自 体 に 手を加えて撮影したり、時にはペイティングの要素を取り入れるなど、自由な想像力を作品に 投 影 し て き ま し た 。

S t a r e R e a p と の コ ラ ボ レ ー シ ョ ン こ の よ う に 、 幅 広 い 手 法 で 知 ら れ て い る オ ノ デ ラ の 作 品 で す が 、 そ こ に 一 貫 し て い る の は 日 常 の 中 で 感 じ た 素 朴 な 疑 問 や 好 奇 心 を 大 切 に し て い る こ と で は な い で し ょ う か 。 過 去 の イ ン タ ビ ュ ー で オ ノ デ ラ は 次 の よ う に 答 え て い ま す 。

「アイディアは、芸術や映画を見てインスパイアされるというようなものではなく、日常の中で ふ っ と 湧 い て く る よ う な 感 じ か な 。 こ れ は 何 だ ろ う ? と 考 え た り 、 見 て い る う ち に 、 な に か 全 然 違 う 要 素 と 結 び つ い た り 、頭 の な か で 醗 酵 さ せ る 時 間 が 必 要 で す 。( 中 略 )そ ん な 感 じ で 、 アイデアは衝撃的なひらめきから生まれるというようなことではなく、普段から気になること や 疑 問 が 頭 に あ っ て 、 そ れ が 時 間 を 経 て あ る 時 、 始 め よ う ! と ス イ ッ チ が 入 る 感 じ で す 。 私の場合、頭の中にあるアイディアとは、言葉であったり、イメージであったり、コンセプトで あったり、技術であったりとごちゃまぜの状態です。コンセプトだけが浮くような作品が多く み ら れ ま す が 、 視 覚 芸 術 で あ る 限 り や は り イ メ ー ジ で す 。 イ メ ー ジ が 言 葉 と 結 び つ い た り 混 沌 と し た と こ ろ か ら 始 ま っ て 徐 々 に 形 に な っ て 行 き ま す 。( 後 略 )」 [ 1 ]

リコーの StareReap とのコラボレーションは、昨年、2021 年の秋にオノデラが RICOH A R T G A L L E R Y の 展 覧 会 を 観 た こ と が 契 機 と な っ て プ ロ ジ ェ ク ト が ス タ ー ト し ま し た 。 新 し い プ リ ン ト テ ク ノ ロ ジ ー で あ る S t a r e R e a p は 何 を 目 指 し て い る の か ― そ の 意 図 を 瞬 時 に 感 じ 取 っ た オ ノ デ ラ は 次 々 と リ コ ー の 技 術 者 に 質 問 を 投 げ か け ま し た 。 短 時 間 な が ら も 濃 密 な やり取りの末にフランスへ帰国したオノデラは、本格的に今回の新作について構想を始めます 。 自 由 な 渡 航 が 難 し い 状 況 下 に お い て も 、 オ ノ デ ラ と リ コ ー は オ ン ラ イ ン で の 打 ち 合 わ せ や 、 試 作 プ リ ン ト の や り 取 り を 重 ね 、 S t a r e R e a p に よ る 新 作 を 完 成 さ せ ま し た 。 印 象 的 な 展 題 である「ここに、バルーンはない。」について、作家は自身で次のように語っています。




―作家ステートメント

きっかけは 1900 年初めにパリで撮られた一枚の写真だった。 当時の服装を身に纏った人々の後ろに堂々としたモニュメントがある。そのブロンズで作られた モニュメントは複数の人間の彫像が重なるようにして立ち、頭上の大きなバルーンを支えている。 パリに住み随分と時が経ったが、このようなモニュメントは一度も見たことがない。調べてみた。 ニューヨークの自由の女神で知られる彫刻家 Bartholdi によって作られたもので、熱気球の操縦 士と伝書鳩を讃えるためのモニュメントであった。このモニュメントは現存しない。1941 年、 パリがドイツに占領されていた時に他の何百もの彫像とともに「溶かされた」というのだ。

当 た り 前 の こ と だ が 、 私 が ハ ッ と し た の は 金 属 で あ る ブ ロ ン ズ の 彫 刻 は 溶 け る と い う こ と だ 。 絵 画や写真を破壊するには、燃やすか破くか、しかし彫像は溶けて別のものに生まれ変わるのだ。 「そう、何百もの彫像と共ににどろどろと溶けていく...」。

早速カメラを片手にこのモニュメントがあった場所、Porte des Ternes に行ってみた。現在は 高層ホテルが唐突に一棟聳えていて、大通り入口右側のわずかな家並みと「Ballon des Ternes(テ ルヌのバルーン)」というレストランの名前のみが昔の記憶を留めているだけだ。私は古い写真 当時の広場を想像しながらモニュメントがあったであろう、その辺りの風景をモノクロの銀塩 フィルムに一枚一枚収めていった。熱気球という過去の技術や伝書鳩という古のコミュニュケー ションに想いを馳せながら。この場所を撮影したフィルムは私自身の手により 2m 近い大型の 銀塩写真となり、そのプリントは粗めのキャンバス上に存在感を持ってコラージュされる。

さてここからが今回の制作の要だ。

大きく拡大された銀塩写真の粒子は砂目のように荒く、そのプリントのざらついた表面上に違和 感際立つ StareReap プリントをぬらぬらと被せ次元を飛び越える。それは私にとって「溶けて 無くなった彫像」の不在を呼び戻すような行為なのだ。「溶ける」をキーワードに溶かしたオブ ジェをデジタルカメラで撮影し、さらに時の流れの重さを積み重ねるように、その溶解物中に 数多のイメージを内包させる。StareReap プリントによる滑らかではあるがレリーフのような 立 体 的 で 厚 塗 り の 絵 の 具 の よ う な カ ラ ー ・ イ メ ー ジ 、 そ れ と 現 在 を 表 し た モ ノ ク ロ プ リ ン ト 。 そ のふたつの衝突と融合。

そ の 場 に 居 合 わ せ て い る か の よ う な 等 身 大 の プ リ ン ト は 7 点 連 作 と し て 並 び 、 R I C O H A R T G A L L E R Y の 円 形 空 間 を パ ノ ラ マ と し て パ リ の 広 場 を そ こ に 現 出 さ せ る 。 プ リ ン ト 上 に 移 植 さ れ た 異 形 の イ メ ー ジ は 時 と 場 所 の 混 濁 と イ メ ー ジ の 飛 翔 を 促 す だ ろ う 。

今 回 の R I C O H A R T G A L L E R Y の 展 覧 会 で は こ の 新 作 と 同 時 に 2 0 0 6 年 か ら 2 0 1 4 年 に 製 作 された《Eleventh Finger》シリーズ数点など過去作品も交えた形で展示する。 《Eleventh Finger》は隠しカメラで人々の仕草や動きを撮影したシリーズ。顔の部分がフォトグ ラムの技術で隠され、その顔を隠した白いマスクには様々なモチーフが無数の穴で開けられてい る。穴を通して露出する銀塩写真の粒子と、フォトグラムで焼き付けられたフラットな白い滑面 の対比が、新作『ここに、バルーンはない。』と気持ち良く響き合うであろう。 ―オノデラユキ


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2022年3月19日~4月9日
12:00~19:00(最終日〜18:00)
休館:日、月、祝
RICOH ART GALLERY
東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8F / 9F






by higashikawa_blog | 2022-03-20 12:16 | 受賞作家関連
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