植田正治氏 展覧会「植田正治:白と黒の形態」
写真家がモノクロ、白と黒の世界に惹かれる理由は、様々だと思います。ただひとつ言えることは、モノクロ写真には、カラー写真とは異なり、暗室作業、つまり一枚のプリントを生み出す職人的な技術と経験が必要とされたということです。そして、その確かなテクニックが、作家独自のこだわりや創意工夫を生み、表現の幅を無限に拡げたのです。植田が遺した多くのプリントの数々がそのことを雄弁に物語っています。
1950年代から徐々に、写真雑誌にも、写真家のカラー作品が掲載されはじめました。植田もカラーでの作品を発表していますが、その後もモノクロ作品にこだわりました。1957年、写真雑誌に「白と黒の形態」という連載名で発表された作品があります。自分自身の写真スタイルを模索していた時期でもあり、植田自身、写真表現の原点に立ち帰る試みだったのかもしれません。
今回の展覧会では、1950年代の作品を中心に、戦前の作品、シリーズ〈童暦〉、〈小さい伝記〉、〈風景の光景〉など、代表的な作品群の中から、白と黒、光と影、明と暗を強く意識した作品の数々を紹介します。デジタルでのイメージが身近にあふれている現在、あらためてモノクロ写真のシンプルでありながら、奥深い魅力を実感していただけることでしょう。
車輪 1957年
シリーズ〈かたち〉より 1952-58年
シリーズ〈童暦〉より 1959-70年
シリーズ〈小さい伝記〉より 1974-85年
シリーズ〈風景の光景〉より 1979-83年
※障害のある方とその付き添いの方(1名まで)は半額となります
※いずれも証明できるものをご持参ください
〒689-4107 鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3