林 直さん 展覧会「いのちのとなり」

京都府木津川市出身の林 直 (はやし ただし)は、写真館を営む両親の元で育ちました。現在は写真館の二代目として家業を継ぎながら、写真家として作品制作を続けています。2019年からは地元の「木津川アート」のプロデューサーを務めるなど、近年は幅広い活動を展開しています。
2015年と2017年に続き、ブルームギャラリーで3回目の個展となる本展では、ここ数年の間に大判フィルムカメラで撮ったモノクロ作品11点を展示します。コロナ禍に撮影されたこれらの作品は、どれも身近な人や場所の記憶を丁寧に捉えるだけでなく、林直の作品テーマでもある「きおくの記録」を軸に、より広い視野で過去・現在・未来との関係性をみつめようとする作家の眼差しを垣間見ることができます。林直の新作展示をぜひご覧ください。
なお、本展に合わせて展覧会の展示作品をまとめたフォトジンも販売します。
12月10日(土)にはオープニングパーティー、12月17日にはトークイベントも開催しますので、皆様のご来廊を心待ちにしております。
◎アーティストステートメント
いのちのとなり
良くも悪くも、あたりまえの日常は突然そのかたちを変える。あらゆる物事は流れる時間の中で、留まる事なく存在していると考えると、驚くことではないのかもしれない。しかし、大切な家族の存在や、それぞれが思いを寄せているものを眺めていると、ひとつひとつがたまらなく愛しくなる。
近年、世の中の状況を見ていると、目の前にある日常が、とつぜん消え去ってしまうかもしれないという、危機感のような感覚が増したように感じる。疲弊した社会の悲鳴にも似た出来事を目にするたびに、その思いはどんどん膨らんでいく。
私たちがいのちを預けている、このあたりまえの世界には、実は目に見えにくい薄い皮膜があり、その向こう側から大きな力によって、小さな幸せを保障されることで成り立っている。けれど、そのシステムにも歪みがあり、私たちのささやかな生活は絶えずそういった脅威に晒されている。
かけがえのない大切なものを写真に留め続けてきたが、ここ1〜2年の変動によって、写真の価値を改めて感じている今日この頃である。カメラのピントグラスや暗室の現像液に浮かび上がるイメージと対峙していると、永遠の時間を手に入れたような気持ちになる。私が写真に魅かれて止まないのは、こんな体験にワクワクしていられるからかもしれない。
林 直
(冬季休業:12月25日-2023年1月10日)
会場:BLOOM GALLERY
〒532-0025 大阪府大阪市淀川区新北野1-11-23 ハイム北野B103
Tel:06-6829-6937
営業日:水曜日から土曜日 13:00 - 19:00