東川賞受賞者 岩根愛氏が編集する写真雑誌『Decades No.2』が、赤々舎より出版されています。
写真雑誌『Decades No.2』

以下リンクより
写真雑誌 〈Decades〉第2号 !!
それぞれの時間の変容から、積み重なる今に思いを巡らす
本誌 Decades は 2020 年、緊急事態宣言下の急激な社会規範の変化による体感時間の変容の認識/錯覚について写真で編むことを試みて、写真家 岩根愛氏により創刊されました。他者との距離に緊張する日々が終わりつつある今日にはどのような未来の予兆があり、それらは次に起こるどんなことの前の記憶として思い返されるでしょうか。
第2号では、写真家と作家、同世代で組まれたそれぞれ10組に、2021-22年に撮影された写真、出来事についてのエッセイが依頼されています。ひとつにはコロナ禍であったとも言える「時間」は、しかし、2011年3月11日から続く時間や、自然環境が都市の姿へと変貌していく時間、戦時下のウクライナにも個人の中を流れ、やがては眼差しを交わすだろう私たちの間にも流れるものになる。福島、東京、北京、杭州、ソウル、シェムリアップ、プノンペン、石巻、ワルシャワ、ウクライナ、チェコ、モルドバ、カリフォルニア、高知──、それぞれの時間の変容を照らし合わせ、積み重なる今に思いを巡らします。
「コロナ禍」のものとして企画された日記や写真集などはしかし、どれもが2020年春の最初の緊急事態宣言の時期がほとんどで、そのあとは格段に少なくなる。ほんとうはそのあとのことを知りたいのに、まだ続いている「今」の連続のことを知りたいのに、手がかりはとても少ない。(中略)始まりのそのあとも続いている「今」が積み重なって、押し潰していく時間のことを、支えていく時間のことを、2022年6月の私は書こうとしている。p30 - p34 柴崎友香 寄稿より 抜粋
さまざまな災害が地球規模で増大し、今どう生きるかを自分の問題として考え、前向きに取り組んでいかなければ生きられない時代に、岩根愛氏の必死の攻防が『Decades』という作品を生み出した。今、私たちはその第二部の一部分となり、私たちが共有している世界の還元方法を見つけ出そうとしている。
p136 榮榮&映里 寄稿より 抜粋
5秒以上視線を合わせると意識が覚醒し、体感時間がはるかに長くなるという実験結果を読んだ日、12 年前に 4 歳だったという福島の高校生に会った。大きな揺れ、商品が倒れたスーパーでつないだ母の手、避難所の天井、いま思い返せるのはそのぐらいの、断片的な記憶だけだという。まもなく 80 歳になる友人は、1 年前と昨日はほぼ同じで、最近のことはすべて「15 年前」、それより前はすべて「40 年前」の出来事と記憶しており、成人以降の記憶は概ねその 2 つに分類されるという。80 分の 1 と 16 分の 1 の時間に生きる彼らが視線を交わす時、或いはここ 3 年の(まるで自分の影ばかりと近づいたような)時間は、どのように同時に存在していたのだろう。
p200 岩根愛 あとがきより 抜粋
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¥ 2,700+tax
発行:赤々舎
Size: H257mm × W182mm
Page:200 pages
Binding:Codex
Language:日本語、English
Published in March 2023
ISBN:978-4-86541-165-2