荒木経惟氏 写真集「暗箱」

写真家荒木経惟は、近所を撮り続けていた。
2019年11月、スイッチ・パブリッシングは荒木が六十年代から七十年代初頭にかけ、個人的な習作として街や人を撮り溜め、自らレイアウトした「月光荘」のスクラップブック二十六冊をまとめた写真集『月光写真』を発売した。「やってることは、この頃からずっと変わらないんだよなぁ」と荒木は言った。
2020年4月7日、第1回目の緊急事態宣言が発令された。コロナ禍の暗雲が立ち込める同月20日に刊行した雑誌「SWITCH」は写真家ロバート・フランクを特集した。混沌の時代を生き抜くヒントを写真家の視線にすがった。荒木はフランクについて語るとともに「街を撮らなくちゃ」と雑誌に言った。緊急事態宣言は5月25日に全面解除された。その日は荒木経惟80歳傘寿の誕生日だった。
2021年5月25日。荒木に今後を訊いた。
「近所を歩きたいんだよね。空も近所になってきたんだよ。浄土は、近所なんだ。決して天上界の花園に広がっているわけではない。生きていることが大事、それを写真に収めていく」
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55,000円 (うち税 5,000円)
判型 130 × 160 mm
頁数 288頁
製本 ハードカバー、ケース
発行年 2023
言語 日本語