糸崎公朗氏 AI写真展「ニッポンのうれしい場所」

コロナ禍明けの昨今、日本を訪れる外国人観光客は以前より増加し、東京都内の繁華街や観光地も多種多様な国籍の人たちであふれています。その表情はみな一様にうれしそうで、それを見る私自身もまたうれしい気分になります。
かつて日本を「悪い場所」と評した評論家がおりましたが、今や世界中の人々が、長い歴史に根差した特有の文化を持つ日本を「良い場所」と認めているのです。
私は自分のこの感覚を率直に「写真」で表現しようとしました。ところが近年、写真文化としてのストリートスナップは、社会をとりまくデリケートな問題により、ともすれば萎縮せざるを得ない状況にあります。
そこで私はこの打開策の一つとして、自ら撮影した写真に、生成AIによる人物像を加える表現を思い立ちました。これら人物像はAdobe Photo Stockにより著作権と肖像権をともにクリアされています。AIによりすげ替えられた人々の表情は活き活きとして豊かで「AIには人間のような感情がない」と言いきれない程リアルです。
そもそも写真は19世紀の発明当初から、手描きに取って代わる「自動生成絵画」の意味合いがあり、多くの画家を失業に追い込みました。しかし一方で、印象派にはじまる新しいアートが産まれ、「写真」もまたアートとして発展することになり、現在のデジタル技術のめざましい進歩を経て「AIアート」にまで至ったのです。
そこで私は本作品を、日本と世界の人々に対する「祝福」の気持ち、人類の技術発展に対する「祝福」の気持ちを込め、制作したのです。
*本展は同期間に開催される『彦坂naoyoshi ゾンビ芸術と美女絵画展』(永井画廊・東京都中央区銀座8-6-35河北新報ビル5F)との連動企画ですので、併せてご覧いただければと思います。
時間:13:00〜19:00
会期中無休・入場無料
会場:路地と人
東京都千代田区神田三崎町2-15-9小暮ビル(ナンハウス上)