川田喜久治氏 展覧会「AWT FOCUS 大地と風と火と:アジアから想像する未来」
第2回となる2024年の監修を務めるのは、森美術館館長であり国立アートリサーチセンター長も兼任する片岡真実。「大地と風と火と:アジアから想像する未来」と題し、政治や経済など人為的な分類や力による統治ではなく、自然の摂理や不可視のエネルギーといった観点から世界を見つめるアジア的世界観を起点に、多様性が共存する未来を考えます。
展示は「宇宙の構造」「手、身体、祈り」「見えない力」「自然界の循環とエネルギー」の4セクションに分かれ、日本からインドネシア、韓国、台湾、フィリピン、ブラジル、香港、メキシコまで、世界各地域から57組のアーティストが参加。日本の26のギャラリーに加え、ソウルのKukje Galleryやマニラ、ニューヨークに拠点を置くSilverlens、台北のTKG+など海外のギャラリーも作品を出展します。
監修者ステートメント
世界各地で分断や衝突が起こり、気候危機が確実に深刻化するなか、現代アート界では世界の多様なアイデンティティや文化にも注目が集まっています。こうした状況から、次のフェーズにどのような未来を想像することができるのでしょうか。異なる価値観が多様なままに共存することは可能なのでしょうか。時代が求めるアートの存在意義とは何でしょうか。正解のない問いは尽きませんが、この彷徨の時代に、太古から我々を存在させてきた自然の摂理や不可視のエネルギーという観点から、世界を俯瞰してみたいと考えています。
アジアの様々な思想や信仰においては、大宇宙としてのコスモスと小宇宙としての身体の融合、宇宙の五大要素の流動的均衡、大地や自然現象に宿る精霊など、世界の全体像はダイナミックな感性や叡知によって想像されてきました。こうした視座は政治や経済など人為的な分類や力によって支配される世界ではなく、物理、化学、天文、地質といった観点から見る世界、さらには科学を超越した世界へ目を向けさせてくれます。
AWT FOCUS「大地と風と火と:アジアから想像する未来」では、大地、風、火、水、木など森羅万象を構成する要素と、その循環を生む不可視のエネルギーやその表象に注目し、世界への眼差しをアジアから多様な文化に拡張します。展覧会が開催される大倉集古館は現存する日本最古の私立美術館であり、その建築は中国やインド、オスマン帝国、欧米などを歴遊した伊東忠太が、当時いかに世界文明を意識したのかを想像させます。空想上の幻獣や獅子、龍が見守る空間で、作品相互から生み出される文化的対話や連鎖、連続性を感じ、この宇宙を生きて来た人類の感性や想像力に、国境や文化を越えて想いを馳せてみたいと思っています。
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2024年 11月7日(木) – 11月10日(日)
10:00–18:00(最終入場17:30)
大倉集古館 1・2階/港区虎ノ門2-10-3