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東川町国際写真フェスティバル Offcial blog

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笹岡啓子氏 展覧会「PARK CITY」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ

photographers’ galleryにて、笹岡啓子氏の展覧会が開催中です。


PARK CITY

笹岡啓子氏 展覧会「PARK CITY」_b0187229_12513390.png


以下リンクより

笹岡啓子は、2001年より広島平和記念公園とその周辺を撮影し、2009年に写真集『PARK CITY』(インスクリプト)を出版しました。その後も各地での写真展開催や東日本大震災による被災地域の撮影(『Remembrance』『SHORELINE』)、また『photographers’ gallery press no.12: 爆心地の写真1945-1952』での広島取材などを通じ、継続して公園都市・広島へ関心を寄せてきました。

スローシャッターやネガポジの反転像で捉えられた写真に写る人影は、現在の広島を行き交う人々としての顔貌を失い、ときに公園や街を浮遊する亡霊のように、ときに時制の交錯した人型として生々しく立ち顕れます。また近年では、軍都でもあった被爆以前の広島の写真を光の三原色のうちの一色として、現在の広島を撮影した写真に重ね合わせるというあらたな試みも展開しています。本展では、新作とともに過去作も織り交ぜて展示致します。


1945年8月6日の直接的な経験から大幅に隔てられた笹岡にとって、ヒロシマを経験するということは、過去の写らなさや見えづらさの困難に同伴してなお、幾重にも何度でも眼差すことの蓄積にほかなりません。笹岡の撮る広島は、過去に対して安易な理解や共感に陥ることなく、忘却のただなかにある個別の出来事とその複雑さをひとつひとつたぐり寄せる試みでもあります。
 【展示内容/インクジェットプリント20点】



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2024/11/26 - 2024/12/14

12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

photographers’ gallery

〒160-0022 東京都新宿区新宿2-16-11-401 サンフタミビル4F





# by higashikawa_blog | 2024-12-01 12:53 | 受賞作家関連

春日玄さん 展覧会「BUFFALO PRESS PHOTO EXHIBITION 2024」


フォトふれ 展覧会のお知らせ

Roonee247photographyにて開催される展覧会「BUFFALO PRESS PHOTO EXHIBITION 2024」に、春日玄さんが出展いたします!


BUFFALO PRESS PHOTO EXHIBITION 2024

春日玄さん 展覧会「BUFFALO PRESS PHOTO EXHIBITION 2024」_b0187229_12465841.jpeg


以下リンクより

BUFFALO PRESS2018年に立ち上げられ、来年で7年目を迎えます。

今年新たに、春日玄「あばかれた世界」、下田直樹「名もなき道で」の2タイトルを刊行しました。
今回はRoonee 247 fine arts にて、新作写真集2タイトルのお披露目展示に加え、レーベル代表の土佐和史の新作展示を開催します。会場では写真集とプリント作品の販売も行います。
また大好評いただいた写真飲みイベントスナックルーニィを久々に開店いたします。
イベント内で、出展作家3名によるアーティストトークも行います。みなさま、現在のBUFFALO PRESSを体感しにどうぞお越しください!


出展作家・作品

春日 / Gen Kasuga
「あばかれた世界」

下田 直樹 / Naoki Shimoda
「名もなき道で」

土佐 和史 / Kazufumi Tosa
THE SUNLIGHT TOURS

イベント

スナックルーニィ 127()18時開店~(ギャラリー内にて)
チャージ+ドリンク 無料

6年前大好評頂いたイベントが復活。写真を見ながら写真の話しで飲みましょう!
出展者3名によるアーティストトークも行います。作品と写真集の制作秘話などざっくばらんに語ります。

どうぞお気軽にお越しください!



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会期:2024.12.05(THU)- 2024.12.15(SUN)

12:00-19:00(最終日のみ16:00まで)

Roonee247photography

〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビルB館4F





# by higashikawa_blog | 2024-12-01 12:48 | フォトフレンド

奥山淳志氏 展覧会「BENZO ESQUISSES 1920-2012」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ

KOGANEI ART SPOTシャトー2Fにて、奥山淳志氏の展覧会が開催されます。


BENZO ESQUISSES 1920-2012

奥山淳志氏 展覧会「BENZO ESQUISSES 1920-2012」_b0187229_12413771.jpg
©奥山淳志


以下リンクより

庭とエスキース』という本がある。
造園屋の私にとって、この本はとても心に響き刻まれる本だ。人が生きることと庭を、あるいは森を、山を考えている。本を手にとって、ずっと考え続けていた、森の中でひとりで生きることをその中にみた。弁造さんだ。

「エスキース」は、もちろん、展覧会を開催することのなかった弁造さんの絵のことだろう。けれども、それだけではなく、庭(弁造さんの庭は森全体だ)を育むための、生きるための様々な手の仕事、なすべきことの設計図のようにも感じる。

また、それは完成を求めるための設計図とも違い、記憶、手を動かした軌跡の中にある気づきの感触でもあるかもしれないと思った。『庭とエスキース』の、「と」には、いろんな意味を想像することができる。

そして、もうひとつ、弁造さんに向けられた奥山さんの眼差しがある。奥山さんの文章を読んでいると、弁造さんの丸太小屋の暖かさや匂い、音が聞こえてくる。森の中に溶け込んだ木造の小さな窓にさす光も目に浮かぶ。なんだか、とても不思議な世界だ。弁造さんのまっすぐで暖かい眼差しが心を打つ。

弁造さんが亡くなって、奥山さんが弁造さんの絵と共にいろいろなところを歩んでいることを知った。ぜひ、亡き弁造さんに会ってみたい、弁造さんと共にある奥山さんと話してみたいと思った。

本展は、弁造さんの絵画と奥山さんの写真で構成される。
そして、観る人ひとりひとりの中にある森や山、川、深い池、海、生き物たちの、誰かとの、あるいはひとりで生きた記憶もきっと展覧会をかたちづくる大事な要素だ。
(宮下美穂 KOGANEI ART SPOTシャトー2F)



弁造さんのエスキース販売について 奥山淳志

ひとつの思いがあって、弁造さんのエスキースを販売することにしました。
2012年の4月に弁造さんが亡くなり、僕は弁造さんのエスキースを僕が暮らす岩手に持ち帰りました。生前、弁造さんはその絵について、「わしが死んだら燃すなり好きなようにすりゃあいい」と軽く言い放っていました。それは「死んだら無になる」が信条の弁造さんにとっての本心だったと思います。実際、弁造さんは死後、自分が暮らした丸太小屋と納屋を解体するための費用を残していました。弁造さんは、自分の死とともに絵も無にかえそうと計画していたのです。僕もその当時はそれが弁造さんらしい判断だと感じていました。
しかし、弁造さんが実際に亡くなってしまうと、僕は弁造さんのエスキース、手書きの手紙、メモといった弁造さんの存在を強く宿すものをかき集め、持ち帰ることにしました。『庭とエスキース』にも綴りましたが理由は、弁造さんの記憶を宿す物のすべてが無くってしまえば、弁造さんが存在したという事実さえも失われる気がしたからです。
以来、僕はずっと弁造さんのエスキースとともに生きてきました。おかげで、僕は弁造さんが愛した絵の世界を常に感じながら生活することができました。それは、この胸の奥から弁造さんのあの甲高く人懐っこい声が聞こえてくるような、そんな日々でした。
一方、心配もありました。それは僕が死んでしまったら、このエスキースたちはゴミになってしまうのだろうなという簡単に想像できる未来でした。すべてのもの、すべての存在が消えてなくなると考えれば、それはそれでいいのだろうという思いもないわけではありません。しかし、画家としては全くの無名で逝ってしまった弁造さんのエスキースが死後もこうして僕の手元に残り、しかもいくつもの幸運が重なって「弁造さん」という存在が多くの方々が愛されるようになった今であれば、さらなる幸運も夢見ることができるのではないかと思うようにもなりました。
ずっと、「弁造さん」は僕の弁造さんでした。しかし、僕が不思議な縁で巡り合うことができた「弁造さんの生きることを見つめた日々」を写真や言葉で表現していく過程で、「弁造さん」は「みんなの弁造さん」になっていきました。この奇跡(僕はいまだにそう思います)を思うと、弁造さんが遺したエスキースも「みんなのエスキース」になることができるのではないか、そう考えるようになっていったのです。
そして、たどり着いたのが、今回上梓する『BENZO ESQUISSES 1920-2012』を機に僕は弁造さんのエスキースを手放そうという決心でした。と同時に、誰かが弁造さんの記憶が宿るエスキースを大切に思い、暮らしのなかに迎え入れてくれたらと願いました。無名の画家が描いたエスキースの価値など、もしかしたら落書き同然なのかもしれません。しかし、弁造さんの生きることに共感する方々が、弁造さんのエスキースとともに新しい日々を歩んでいくという未来を想像すると、「他者と出会うこと」が秘められた不思議な力を僕は覚えます。
今、友人の木工作家に弁造さんが板に描いた油絵を収めるオリジナル・フレームの製作を依頼しています。弁造さんが描いた女性たちは、木の香りのする美しいフレームに飾られて、どのような人に出会うのでしょうか。エスキースの女性たちが新しい家で目を輝かせるその光景を僕が見ることはきっと叶わないでしょう。しかし、それを想像することで、僕は胸の内に存在している弁造さんに今日も語り掛けることができると思うのです。



奥山 淳志 おくやま あつし
写真家
1972年 大阪生まれ。京都外国語大学卒業。
1995~1998年 東京で出版社に勤務した後、1998年、岩手県雫石に移住し、写真家として活動を開始。以後雑誌媒体を中心に北東北の風土や文化を発表するほか、近年は、フォトドキュメンタリー作品の制作を積極的に行っている。

受賞
2024年『第32回林忠彦賞』受賞
2022年『令和4年度 岩手県芸術選奨』受賞
2019年『第35回 写真の町 東川賞 特別作家賞』受賞
2018年『2018年 日本写真協会賞 新人賞』受賞
2015年『第40回 伊奈信男賞』受賞
2006年『フォトドキュメンタリーNIPPON 2006』(ガーディアン·ガーデン)選出
著作
2023年『BENZO ESQUISSES 1920-2013』私家版
2021年『動物たちの家』みすず書房
2019年『庭とエスキース』みすず書房
2018年『弁造 Benzo』私家版
2012年『とうほく旅街道』河北新報出版センター
2006年『フォトドキュメンタリーNIPPON』ガーディアン·ガーデン
2004年『手のひらの仕事』岩手日報社刊
2003年『岩手旅街道』岩手日報社




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2024年12月4日(水)〜 2024年12月22日(日)

KOGANEI ART SPOTシャトー2F

〒184-0004 東京都小金井市本町6-5-3 シャトー小金井 2F





# by higashikawa_blog | 2024-12-01 12:44 | 受賞作家関連

石川 真生氏 展覧会「ライフ2 すべては君の未来」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ

熊本市現代美術館にて開催中の展覧会「ライフ2 すべては君の未来」に、石川 真生氏が出展しております。


ライフ2 すべては君の未来

石川 真生氏 展覧会「ライフ2 すべては君の未来」_b0187229_07302844.png


以下リンクより

2020年に開催した「ライフ 生きることは、表現すること」展は、作品を通して「弱さ」の中にある、私たちが大切にすべき価値観について問いかけるものでした。あれから4年。私たちは、様々な地震や災害、また地球規模での新型コロナウイルス感染症を経験した時代に生きています。
そして、世の中は、さらに答えのない、予測不能な時代に向かっています。続編となる本展では、孤独や不自由さ、また容易に答えの出ない、矛盾に満ちた状況に向かい合いながらも、喜びや希望を忘れず、未来に向かって制作を続けてきた表現者や、それを支える人たちの姿までを含めて紹介します。


出品アーティスト(全10組)
分身ロボット OriHime、 荒木 聖憲、 曲梶 智恵美、 駒田 幸之介、 内野 貴信、 東 勝吉、 齋藤 陽道、 石川 真生、 キュンチョメ、 レインボー 岡山


展覧会をめぐるキーワードと概要

障害 / 不自由 / 外出困難 / ロボット / テクノロジー / 就労 / アール・ブリュット / ちぎり絵 / 編み物 / 絵画 / 家族 / 支援する人 / 木こり / 老人ホーム / 孤独 / 水彩画 / 故郷 / 仲間 / ろう者 / 写真 / 手話 / 子育て / 沖縄 / 琉球 / 戦争 / 基地 / ミックスレイシャル / ウチナーグチ / 叫び / ビデオ / 性別違和 / 名前 / ユーモア / 虹 / 希望 / 未来…


離れていてもつながり、働く

本展では、まず初めに分身ロボットOriHimeを紹介する。吉藤オリィ(よしふじ・おりぃ 1987年-/東京都在住)が開発したOriHimeには、カメラやマイク、スピーカーが搭載され、外出困難な人であっても、まるでそこにいるかのようにコミュニケーションすることができる。会場内では土日祝の午後を中心にパイロットと呼ばれる操作者が、遠く離れた場所から実際にOriHimeを動かして、来場者とコミュニケーションを取ったり、OriHimeの作品解説を行うなどして、美術館のスタッフとして働くことを実現する。


私という存在の証明

続いて、アール・ブリュットの4人のアーティストに注目する。自身の思いをのせた緻密なちぎり絵で風景や想像の世界を描く荒木聖憲(あらき・みのり 1994年-/玉名市在住)、毛糸などのモチーフを重層的に組み合わせ心のありようを紡ぐ曲梶智恵美(まがりかじ・ちえみ1981年-/熊本市在住)、紙の幅や裏表を自由に飛び超えて心地よいリズムにのせてペンを走らせる駒田幸之介(こまだ・こうのすけ 1989年-/熊本市在住)、日常の体験や発見をポップで明るい色彩と明快なフォルムで描く内野貴信(うちの・たかのぶ 1974年-/熊本市在住)である。熊本で「アール・ブリュット」という言葉が広く知られるようになったのは、今年で10周年を迎え作家の発掘や支援を続ける「アール・ブリュット パートナーズ熊本」の存在が大きい。家族や施設スタッフとともに彼・彼女らの表現を後押しし、成長を見守ってきた多くの人たちの姿が作品の陰に滲む。


素晴らしい孤独がここにある

東勝吉(ひがし・かつきち 1908-2007年/大分県で没)は、大分で長く木こりとして働いた後、由布市の老人ホームに入所していた。これといった趣味もなかったが、83歳のある日、絵の具セットを贈られたことをきっかけに、カレンダーや新聞の切り抜きを見ながら由布院の風景を猛然と描き始め、99歳で亡くなるまでの16年間で100点以上の水彩画を残した。その東の作品に感銘を受けた由布院の人々は、NPO法人由布院アートストックを立ち上げ、作品の保存や展示活動に取り組んでいる。例え無名で孤独であったとしても、誰かの心をゆさぶる作品を描くことができ、何かを始めるのに遅すぎるということはないことを、東の作品は教えてくれる。


音のない世界から見つける光

齋藤陽道(さいとう・はるみち 1983年-/熊本市在住)は、先天性の感音性難聴をもって生まれ、発音指導などを受けながら一般の小中学校に通っていたが、周りのコミュニケーションについていけず孤独な日々を送っていた。その後、進学した石神井ろう学校で手話に出会って以降、手話の持つ世界の奥深さに魅了され、「ろう者」として生きていくことを決め、写真家としての活動を始める。本展では、齋藤が出会った障害のある人や、そうでない人の姿、そして生き物や自然の風景などを、等しく透明感あふれる眼差しで切り取った代表作「感動」シリーズを軸に、その作品世界を紹介する。


生きる限り沖縄を撮り続ける

石川真生(いしかわ・まお 1953年-/沖縄県在住)は、WORKSHOP写真学校東松照明教室で写真を学び、70年代以降、沖縄をめぐる人々に密着しながら作品を制作してきた。被写体となる人々と正面から対峙し、立場を越えて取材することで、沖縄の生々しくかつ複雑な現実を写しだす。
本展では、米軍基地勤務の黒人兵のためのバーで働きながら同僚の女性たちを撮影した初期の代表作「赤花 アカバナー 沖縄の女」のほか、「沖縄芝居」「港町エレジー」「ヘリ基地建設に揺れるシマ」「大琉球写真絵巻」(Part1)等のシリーズを展示する。


私が決めた 私の名前を 声枯れるまで 大きな声で叫ぼう

キュンチョメ(ホンマエリ 1987年-、ナブチ 1984年-/神奈川県在住)は、制作行為を「新しい祈り」であるととらえ、世界各地でそこに関わる人々と向き合い、時にユーモアを交えながら、様々な社会問題をテーマとした作品を発表してきた。近年はフィリピンやハワイに滞在し、圧倒的な自然や多様な価値観に触れることで更に表現の幅を広げている。本展で紹介するビデオ作品《声枯れるまで》(2019年)では、出生時の性別に違和感を持ち、自らに新たな名前をつけた人たちとキュンチョメが対話を重ねる様子が描かれる。共に時間を過ごしながら、その新しい名前を世界に響きわたらせるために、一緒になって何度も何度も、声枯れるまで叫ぶ。


虹をかける人

この世には「虹をかけること」を仕事にする人がいる。
レインボー岡山(1962年-/阿蘇郡在住)は、熊本市現代美術館の開館記念展「ATTITUDE2002」にレインボーマンとして登場して以来、20年以上、様々な場所に虹をかけ続けている。その虹は、風船やビニール製のテープなど、安価な材料を用いて岡山がデザインを行い、その場に集まった人たちが互いに協力し合うことで、ダイナミックな風景が出現する。
空にかかる虹は、あらゆる人に等しく開かれている。そして私たちには、例え小さくとも世の中に虹をかけることのできる力が備わっているということを、レインボー岡山は気づかせてくれる。



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2024年10月5日()- 12月8日() 56日間

10:00–20:00(展覧会入場は19:30まで)

休館:火曜日

熊本市現代美術館 熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館3階






# by higashikawa_blog | 2024-11-27 07:33 | 受賞作家関連

石川直樹氏 展覧会「奥能登半島」


東川賞受賞作家 展覧会のお知らせ

ニコンサロンにて、石川直樹氏の展覧会が開催されます。


奥能登半島

石川直樹氏 展覧会「奥能登半島」_b0187229_11335382.png
©石川直樹


以下リンクより

2015 年から 2021年まで、6年以上にわたってぼくは能登半島の先端にある珠洲市に通い、四季を通じて写真を撮り続けてきた。
陸の視点で見れば「行き止まり」にあたる半島の先端部だが、海から見れば三方から新しい文化や人やモノが流入する開かれた土地である。その昔、海は人を阻むどころか、陸路よりもはるかに速く、広範囲に人やモノを移動させた。こうして江戸時代の奥能登は北前船によって栄えた。しかし、近代になって陸の交通網に軸足が移ると、衰退の一途をたどることになった。
現在まで人口が減り続けてきた珠洲市だが、もともと4000年ものあいだ縄文の人々を引き寄せ、生活を下支えしてきたポテンシャルの高い土地でもある。気候は穏やかで暮らしやすく、移住者も少しずつではあるが、増えつつあった。日本海を介して大陸や朝鮮半島にも開かれたこの地の幕らしにぼくは魅せられ、春夏秋冬の小さな儀礼から日々の生活の詳細に至るまで、写真による記録と個人の記憶を積み重ねてきた。

が、そんな矢先、2024年1月1日に、この地を大地震が襲った。風景は文字通り、一変した。少しの比喩もなく、本当に珠洲のあらゆる風景が変わってしまったのである。
ぼくは、発災から一カ月後に珠洲を再訪し、旧知の人々に会いに行った。彼ら彼女らの中には、好条件の移住を勧められながらもそれを断り「この集落の住人がたとえ一人になってもここで生きていく」とぼくに話してくれた人もいる。
さらに、だ。9月21日22日に記録的豪雨が奥能登を襲い、再び多くの被害が出た。こうした災害の前と後では、彼の地の営みがどう変わって、どう変わらなかったのか。何かが永遠に失われてしまったのか否か。行き止まりこそが入口になる。そんな思いで、ぼくはこれからもずっと、日本海につきだした奥能登半島に通い続けたい。この眼をもって、奥能登と奥能登半島の人々をずっと見つめ続けていきたいと考えている。

(石川 直樹)


石川 直樹(いしかわ なおき)

1977年東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞。2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞。


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2024年11月26日(火)~2024年12月9日(月) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
ニコンサロン
〒163-1528 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階



# by higashikawa_blog | 2024-11-24 11:35 | 受賞作家関連
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Higashikawa photo Award


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