
野村氏は2020年、それまで活動の拠点としていた東京を離れ、自身のルーツである沖縄に移り住みました。自然と寄り添う暮らしの中で、古来より島に息づく海の神・龍神の伝承や、海の彼方にあり死者が還る理想郷とされる「ニライカナイ」への憧憬を手がかりに、生命の循環と祈りを見つめ続けてきました。
本展で展示する作品群は、野村氏の表現の根底にある「生と死」というテーマを、沖縄の光と海の青を通して掬い上げた〈龍宮〉の物語です。2020年以降の新作を中心に、1990年代後半から現在に至るまでの作品によって構成されています。
展示する写真作品は、すべてキヤノンのプリンターimagePROGRAF PROシリーズでプリントし展示します。
龍宮 Ryugu―それは闇ではなく、光に澄む青の彼方。
沖縄の海の果てに、わたしはあなたをおもう。
波は今日も、光とともに満ちては還ってゆく。
野村恵子
野村恵子の作品には、常に「生と死」というテーマがその根底にある。それは二項対立ではなく、互いに分かちがたく結びついたものとして捉えられてきた。
2020年、東京を離れ、自身のルーツである沖縄へ移り住んだ野村は、自然と寄り添う暮らしの中で、死者が還る場所であり神々の住まう理想郷ともされる「ニライカナイ」の観念と自身の死生観を交錯させながら、その表現の輪郭をいっそう明確にしていった。
沖縄に伝わる海の神・龍神の伝承を手がかりに、野村は「青」の光の中に、生と死、祈り、そして島に刻まれた時間の層を掬い上げようとしている。
生命をめぐるその大いなる循環は、やがて私たちの内部へと静かに息づいていく。
柿島貴志(本展キュレーター)
10時~17時30分(日曜・祝日、5月3日~5月6日休館)






